第十二話 生物学者の提案
私はミゲル。生物学者だ。
ふと新聞を読んでいると、気になる話題が目に留まった。
『卵見つかる 地球が消滅と予言の古文書信憑性高まる』
古文書によると、その卵から小さいドラゴンが生まれ、地球を消滅させてしまうらしい。
「なんだ、見つかってよかったじゃないか、そんなもの、さっさと壊してしまえばいい。」
さっと読み飛ばし、いつも通り大学に向かった。
大学に着くと、急遽朝から打ち合わせが行われることになった。
どうやら、新聞に載っていた古文書の件らしい。
どうやら自分の考えはかなり浅はかだったらしい。
打ち合わせで得た情報はこうだ。
・世界は何度も消滅している。
・卵が原因と判明しており、過去の人類が何度も破壊を試みたが、成功していない。
・過去の人類は我々よりも進んだ文明を持っていたが、それでも兵器では破壊できなかった。
「我々の文明は過去の人類より劣っている」――その表現に、少々いら立ちを覚える。
配布された古文書の解読資料に目を通すことにした。
過去に作られたはずの古文書に、未来についての記載がある。
確かに、我々は少々遅れているようだ。
記載されている兵器に目を通すも、聞いたことのない技術ばかりだ。
未来のまだ見ぬ技術にうなりながら、過去の人類の挑戦を繰り返し読んでいると――ふと気になる記述が目に留まる。
過去の挑戦のうち、一度だけ、ドラゴンの瞳が白くなっている。
毒を使用した時だ。そして、目を開いた後、息を吹きかけている。
前後の記載を注意深く読み返すと、その息が周囲を中和しているように思われる。
兵器でも、毒でも過去の人類に後れを取っている我々は、ここに注目するしかないように思えた。
コーヒーを飲み、ゆっくり落ち着いて、深く考えてみる。
ドラゴンの地球の消滅、そして毒の中和。――なぜ消滅させる?――なぜ中和する?
ただ消滅させるだけなら中和する必要性はないはずだ。
もしかして、地球環境に対応しているのでは?
根で地球の状態を把握している?
何か都合が悪いから地球を消滅している?
根とは、通常、養分や水を吸収するためのもの。
十分に吸収できないと判断したから、壊すことにした?
中和する必要があると判断したから、中和する息を吹きかけた?
では――もし、他の星でうまれていたら?
他の星は地球とは違う性質をもつだろう。
星の状態に応じて対応を変える?
より硬い星であれば消滅の方法を変える必要があるだろう。
毒性の強い星であれば中和する必要があるだろう。
では――爆発も中和も必要のない、恵まれた星に生まれていたら?
私は、卵を培養液に浸すことを提案することにした。
ドラゴンが通常の生物と同様の養分を必要としている保証はない。だが、試す価値はあるかもしれない。
というより、他の選択肢を試す余裕はなかった。
残された時間は、ほとんどない。与えられている機会は、一度きりということになるだろう。
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