第十話 ホープ様の様子
何度目の消滅かはもう覚えていない。
今回は、通常より文明は発展していたはずだった。
今までで最も当たりの文明だったはずだった。
地軸の調整により、気候は安定するようにはなったが、毎回同じように文明が育つわけではない。
ちょっとしたことにより、不作になったり、偉人が育たなかったり、技術の発見が遅れたり、
小さなすれ違いから戦争が起こったり、同じようにしていても大きな差がでてくる。
それに、どんなにうまくいった文明だとしても、神の啓示が機能せず、卵を壊そうとしない文明だってあった。
今回は間違いなく当たりの文明だった。
順調に文明が発展し、それに伴って技術も進化した。
さらに、神の啓示が聞き入れられ、古文書として発見され、それがある程度信用され、卵を壊す行動をとった。
ホープ様も大きな期待をよせていた。
でも、結果は――いつも通りの失敗だった。
期待が大きければ大きいほど、失敗した時の落胆も大きかった。
もう少なくとも50回以上は失敗している。そのたびに、星が消え、人々が消えている。
そして、その様子をホープ様はずっと見ている。
「また、ダメだった。また、時間を戻さなきゃ。」
ホープ様はいつも笑顔で、気丈にふるまうが、顔はどこか引きつっているし、声も震えている。
誰が見ても、無理しているようしか見えないだろう……。
ホープ様は、また、今回の文明はどうだったか、神の啓示に問題なかったか、これからしばらくの間考え込むに違いない。
ただ、まだその間の方が少しマシのようだった。
卵の孵化が始まる時がまた近づくにつれて、ホープ様は再度不安に押しつぶされそうになっていく。
その繰り返しが何度も続いている。
確かに、もともとホープ様が始めたことだった。
しかし、もうやめるにやめられなかった。
ここであきらめてしまったら、今まで消えていった人々が報われない。
それに、人々もまた、卵に挑戦し結果を残し、次の地球に託して消えていく。
繰り返せば繰り返すほど、重責がどんどん重くのしかかり、ホープ様を苦しめていく。
本当に終わりがあるのかわからない。
ただ延々と失敗を繰り返すだけかもしれない。
人々には申し訳ないが、私には星の事なんてどうでもよかった。私は、ただただ、ホープ様が心配だった。
だから私は、笑顔が見たくていつも応援する。
でも、本当に応援するのが正しいのかわからなかった。
もしかしたら、あきらめる方がいいかもしれない。
もともと天界があきらめるくらいの災厄なのだから。
ホープ様はすでに解決策を見つけているのだから。
あきらめたら、もうこんなホープ様の姿を見なくて済むかもしれない。
どちらが正解かわからないまま、健気に気丈にふるまおうとするホープ様をみて、私はまた、そっと応援してしまうのであった。
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