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シャワー

作者: 岡野うか

夫が帰ってくる前に

美香はシャワーを浴びた。


裸になってシャンプーを手にとって

髪の毛を泡立てながら、

いま、見えているこの風景を

そういえば昨日もみたな、って

ぼんやりと思った。


毎日毎日が同じことの繰り返しじゃないか。


昨日も今日も明日も明後日も・・・

違いがわからない。



シャワーから流れる熱めのお湯は

髪を伝い、カラダを伝い

排水溝に流れていく。


明日を新しく迎えるために

今日の汚れと一緒に

いらない記憶さえも排水溝に流しているようだ。




昨日がどんな日だったのか、

思い出そうと試みるが、

昨日と今日の境界線が見当たらない。


シャワーヘッドから勢いよく流れ出る湯を止めた。

髪の毛からぽたぽたと

雫が落ちているのを見ている。


美香は落ちる雫をみながら

ぼんやりと思う。


もしかしたら、

私は記憶を失っているのかな…



そうだよ。

記憶を失っているのだとしたら

この代わり映えのしない毎日の

すべての辻褄があう。




そうだ。

今日から日記を書こう。




日記を書けば

昨日に何があったかわかるじゃないか。




シャワーを終えて


美香は下着姿で

机の上にあった見慣れないノートをみた。



表紙には

パソコンで書いた〈Diary〉のラベル



夫は日記をかいているのだろうか。



勝手に見たら悪いかな・・・と思いつつ、



美香は参考にさせてもらおうと


何気なく

今日の日付のページをひらいた。




前のページ、

昨日の日付には


子供のころから

他の誰よりもよく見慣れた

私が一番知っている字で


日記が書かれている。




「そうだ。今日から日記を書こう。」

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