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会いに行きます


「それは、自分に対して言ってるのかい?」

「…………っ!?」


 いつのまにか、管理人がドアにおり、ホア爺の言葉に口を挟む。


「まさか……リ……」


「ここでは、私はただの管理人だ……窓から血相を変えて走ってくるお嬢さんの姿が見えたものでね……まぁ、回復したようなら良かったよ」


 ホア爺は、まだ状況が飲み込めていないようだ。何度か遠目から見たことのある管理人とはあまりにも印象が違っていたからだ。見た目だけではなく、身にまとう魔力の雰囲気も変わっており、彼女だと今まで気づかなかった。


「私めの場合は、選択させてしまった側です。自分の未熟さで大切な人を傷つけてしまった……もし許されるなら、あなたにひざまずかせて頂きたい」


「断るよ……病人の間は大人しく寝てな……」


「〜〜〜〜っ!?」


 管理人の返事に、ホア爺は優しくうなずいた。元気になったら、1番にあなたに会いに行きますと約束して。






「ん?」


 エドルドは、気配に気づき窓を開ける。そこには、以前アリシアにパンを届けにきた魔獣の鳥が王家の紋章が入った手紙を届けに入ってくる。


「……思ったよりも速い対応だな」


 伝達の魔力が回復していない為、王家が召喚できる魔獣に手紙を届けさせたのだろう。内容を読んだエドルドは、一瞬厳しい顔をする。


「父が……王が直接ここに来るようだ。バージニア家の裁判および賢者の塔の確認、そして……僕の腕の確認にね」



 通常、王が直接動くことはない。だが、今回は国に長く仕えてきた上級貴族バージニア家の不祥事、国家の知の象徴とも呼べる塔の存続の危機、そして、有力王位継承者であるエドルドの資格喪失の真偽がかかっている。王家に関わるスキャンダルともなれば、他国に漏れる前に直接出向く必要があったのだろう。



「それは……」


 さすがにアリシアも不安になる。エドルドはその様子に気付き、手を握りしめる。


「不安にさせてすまない……大丈夫だ。むしろ、ここにきてもらった方がなにかと都合が良い。到着は明日の予定だ……今夜は、すまないが……」


「私の部屋を使うかい?」


 管理人が声をかける。ミオラはまだホア爺の治療で付きっきりとなる。さすがに1人にさせるのはと心配したエドルドに配慮してくれたのだろう。



「……いいえ、私は塔に戻ります」


「それはっ……まだ父殿も帰れないのだぞ?」


「大丈夫です。私は塔の管理人で、今はあそこが私の家です……陛下も、塔に用があるのでしたから、明日はそこでお出迎えをさせてもらった方が宜しいかと……」


「そうだが……」


 アリシアの言う通りだった。2人でいるところを出迎えれば、王もバージニア家頭首もアリシアに良い印象をもたないだろう。当然、報告はいっているだろうが、手紙には塔の確認と書いてあった。アリシアの能力をみてもらう為にも都合が良い。


「分かった……絶対に君を守る」


「ふふっ、陛下はエドルド様のお父様です。グレスビーではないのですよ」


 グレスビーから守ると言ってくれた時と同じことを言うエドルドに思わず笑ってしまう。



 明日は、いよいよ王との対峙の日だ。




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