1回目のやり直し②
入社して3ヶ月が経った。
同じ部署で働く2人が一緒に昼ごはんを食べてもおかしくない。外回りもあるため毎日ではない。でもだんだんと周りも気づき始めていた。佳都と結愛が付き合っていることを。
そんな2人をほとんどの人が優しく見守っていた。
彼女は、前回の記憶がある。
もうすぐ先輩の長谷川さんに告白される。出来るだけ2人っきりにはならないように気をつけていた。
「如月、今日金曜だしご飯行かない?」
長谷川さんは、彼女を食事に誘った。
「あ、えーと…」
行くのはいいけど…どうしようと悩んでいると、
「佐藤さん!今日、長谷川さんとご飯行くんですけど一緒に行きません?」
佐藤さんは、長谷川さんと仲の良い同僚。佳都の研修してくれている人だ。通りかかったので一か八か聞いてみることにした。
「いいね!藤野も行くだろ?」
「あ、はい。」
彼は一度こっちを見たあと返事をした。
2人が行けると言ってくれたおかげで少し安心した。
「多い方がいいと思って。勝手にすいません。」
「うん、そうだな。」
そして仕事が終わり4人で居酒屋に入り何事もなくご飯を食べお酒を飲んだ。
「2人は付き合ってるの?」
急に佐藤さんが言い出したのだ。
「「え!」」
結愛と佳都は2人して驚いた。
周りに気づかれてきてはいたが直接聞かれることはなかった。
「はい。」
彼女は照れながらそう答えた。そして答えながら長谷川さんの顔を見ることはできなかった。
帰りは同じ方向なのでと彼女と彼は一緒に帰った。
長谷川さんと2人きりになることはなく、告白されることもなかった。
前回とは変わったのだ。
彼女は少しずつでも変わったら違う未来があるのかもしれないと期待した。
それからまた2人は結婚する。
彼女は伝えることが苦手だった。
彼はそれで良いと言ってくれた。十分伝わってるからと。
今回の人生では、彼女は彼に好きだと言うことをたくさん伝えた。
そして1日1日を大事に過ごした。
前回と変わらず幸せだった。
そんな幸せもまた前回と同じ日に終わりを告げた。
また目覚めると彼女は真っ白な空間にいた。
今度は起き上がることができた。
「初めまして。やっと起きたんだ。」
突然、話しかけられた。
声のした方向に振り向くと真っ白のワンピースを着た黒い髪の色白の女の子がいた。