群馬県を日本に!
初投稿です。よろしくおねがいします。
生まれも育ちも群馬県であり、いずれ骨も群馬県に埋めるであろう俺だが一つ大きな悩みがある。
誰も群馬県のことを知らないということだ。
それが顕著に現れているのは、都道府県魅力度ランキングである。
群馬県は44位。最下位じゃないじゃんと思ったそこのあなた!
最下位はネタにできる。現に茨城のアイデンティティである。
せめて46、45位だったとすれば2番手三番手としての地位を確立できたが、44位はもう......どうしようもない。
いっそ群馬が日本制服すれば、いいのに!
『その願い、チャンスをやろう』
え? 頭の中で何らかの声が聞こえた瞬間、俺の意識は闇に沈んだ。
◆◆◆
目が覚めると、知らない天井が見えた。石レンガだ。
慌てて起き上がり周囲を確認すると、密室である。
床も天井もすべて石レンガで、出入り口や空気穴すらも見当たらない。このなんにもなさが群馬県をバカにしているようで、少し腹立たしい。
この状況に唖然としていて気が付かなかったが、なんだか視点が低いような気がする。群馬県の平均身長は全国20位の170cmだったのだが、今の自分の身長は155cmで、まるで全国47位の沖縄県民のようだった。
それになんだか全身に一回り筋肉がついたような気がする。これは群馬県民は屈強なので、問題ない。
着ている服がぴっちぴちで丈が長い。北関東にはファッションセンスがないからってこれはやりすぎだ。
そんなふうに現在の状況を飲み込めずにいると、突然部屋の中央に眩く輝く金色のクリスタルが出現した。群馬にとってのハーゲンダッツ工場(世界に4つしかなく、その一つが群馬で日本唯一)をあらわしているのかと思ったが、群馬には富岡製糸場があるのでもう一つクリスタルがないとおかしい。
突然、クリスタルが一層輝きを増し、空中に文字が映し出された。
配下創造 ダンジョン 貯蔵魔力 ヒント
何だこれは。空中にディスプレイが浮いている様子はこの状況の非現実感を際立たせる。
俺は取り合えず、ヒントをタップしてみることにした。
Tips:あなたはダンジョンマスターです。これから他のダンジョンを打倒し、一大勢力を築き上げましょう!
え?どういうこと? もう一度ヒントをタップしてみるが、表示される文言は変わらない。
とりあえず俺は、状況を把握するべくすべての項目をタップしてみることにした。
配下創造
タップした瞬間に、
初回限定で、副官が召喚できます。召喚しますか? YES NO
と表示が切り替わり、YESを押した。
すると、ヤマドリが召喚され......
「あなたの補佐を務めさせていただくヤマドリです。よろしくおねがいします」
「しゃべったー!!!」
まるで夢の中のような話だが、ついた尻もちの痛みがそれを否定する。
それから、召喚されたヤマドリから現状の説明を受けた。
俺がダンジョンマスターであり、ドワーフと呼ばれる種族になっていること。
俺のダンジョンの支配領域が群馬県全域であること。
今から72時間は準備期間であり、危険はないこと。
この部屋は前橋市の地下深くにあり、準備期間以内に外からこの部屋に入れるようにしないと死ぬこと。
ダンジョンを増築してこの部屋のクリスタルを守る必要があること。
このクリスタルが壊されると死ぬこと。
配下を創造してダンジョンを防衛させたり、他県のダンジョンを攻めたりできること。
支配領域内の人間から少しずつ魔力をもらい、貯蔵していること。
他県のダンジョンのクリスタルを破壊すると、そのダンジョンの支配領域を乗っ取れること。
「つまり、群馬県で日本制服するチャンスってこと!?」
「そのとおりでございます」
ヤマドリが仰々しく頷いた。
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