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式も終わり教室に戻ると青葉からの話があったが、話も終わり解散になると颯太は教室を出て行った。
希美は追いかけ颯太の背中に話しかけた。
「美冴さん、私の母はあなたの家族を壊したの?」
颯太は振り返り
「ああ、そうだ。お前の母親がいなければ、母は箱庭のお嬢様でいれた。死なずに済んだ。」
希美は傷ついた表情をし
「…そう。でも私は美冴さんがした事を謝れない。」
「何で。」
「正確には謝る資格がない。美冴さんは私の母親である事を嫌がってた。私はお母さんとも呼ばせてもらえない。だから私はあの人の子供じゃない。だから私は謝れない。」
颯太は少し驚いた表情した後、顔をしかめながら
「俺は何のために…。」
沈黙の後、颯太は
「最後に一つ。何で星空 希は消えたんだ。あんなに愛されていたのに。」
「一番愛して欲しい人がいなくなったから。その人に気に入ってもらう必要がなくなったからよ。笠森くんならわかるでしょ。」
颯太は驚いた顔をして
「お前の母親も、」
「事故よ。」
颯太は顔を青くして
「まさか俺の、」
「笠森くん知らない方がいい事もあるんだよ。もし美冴さんの死の真相が私たちの考えてる事だとしても、あの人の自業自得よ。笠森くんが気にする事ではないから。」
希美は颯太の言葉を遮った。
「じゃあね。もう会う事はないだろうけど。」
希美は颯太を残しその場を後にした。
気付いたら希美は美冴の部屋に来ていた。
「美冴さんあなたの王子様は奥さんがいたんだって。その事を知ってても知らなくても美冴さんは人殺しだよ。」
希美は消えそうな声で呟いた。
その後、学校側が警告したのか 颯太の父親がもみけしたのかわからないが、卒業式の事が外に漏れる事はなく、希美のことを記事に書かれる事もなかった。
希美は高校を通信制の学校にし、アルバイトをしながら通うことにした。
希美が高校に通い始めてもうすぐ一年が経とうとしていた。最近アルバイトをどこも二週間程でクビになる、おかしな現象が起きていた。
希美が次のバイト先を探している時、インターホンが鳴った。
「はい。どちら様ですか。」
希美が玄関を開けると
「私、笠森 昇の秘書をしております。佐伯と申します。」
颯太の父親の秘書を名乗る男が立っていた。
「何のようですか?」
「希美さん、よかったら笠森の自宅に引っ越しませんか?」
希美は佐伯の言葉を聞いた途端、玄関を閉めた。
「また来ます。」
佐伯の声が聞こえたが希美はすぐにあるところに電話をかけた。