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愛を求める少女  作者: このみ
3/7

3


「希美おはよう」


朝、学校の下駄箱で大きな声で杏奈に話しかけられた。「勘弁して欲してよ。目立つでしょ。」と思いながら不機嫌な声で返事をした。


「野々村さんおはようございます。それと二ノ宮でお願いします。」


「そんな寂しいこと言わないでよ。いいでしょ。」


「いつからそんな仲良くなったんだ。」と言いたげな希美の視線を無視して杏奈は喋り続けた。


 それからというもの杏奈は事あるごとに希美の所まで来ては話しかけ、希美は冷たくあしらうのが定番となっていた。



「二ノ宮さん。」


もうすぐ冬休みがある事で若干、クラス内が浮き足立っていた頃、希美は笠森颯太に人気の無い放課後話しかけられた。二人は特に今まで会話もなく過ごしていた。


「何か?」


「二ノ宮さんって星空希美だよね。」


希美はびっくりしたがすぐに


「どうしてそう思うの?」

「否定しないんだ。まぁでも何となくていうか。」

「そう。」

「なんか想像してた反応と違うんだけど。いいの俺がバラしちゃうかもしれないのに。」


「どんな反応を期待してたのか知らないけど、バラしたいのならバラせばいい。今更、終われたって何も思わない。」


「ふぅ〜ん。ま、いいや。」

「話はそれだけ?なら私は行く。」


希美は足早に去って行く



「やっと見つけた。」


颯太の声を聞くこともなく。



それから季節は巡り中学三年の夏を迎えた。


『希美、今日は学校行かないほうがいいと思う。』


突然、琴音から電話がかかってきた。


「どうしたの?琴ねぇ。」

『希美あのね、あなたの学校がバレた』


希美は思考が停止した。


「冗談でしょ、何処から。」

『詳しい事はわからないけど、とにかく今日は行かないほうがいいと思う。』


希美は少し心当たりがあった。


「今日は行く。学校とこれからの事を話さないといけないし。確認したいこともあるから。記事が出るのは今日?」


『いや、明日。でも記者が張ってるかも』

「そのくらいなら大丈夫」


希美はすぐに電話を切り、学校に急いだ。




学校に着くと希美は担任の青葉 俊介に話をした。


「青葉先生これからの定期テストは必ず一位を取ります。なのでこれからは通いません。」


「ちょっと待て。一位を取るのは二ノ宮なら出来るだろうが、何故不登校になるんだ?」

「家庭の事情です。」


「いや、よくわからないんだが、、。」

「とにかくお願いします。」


希美は無理やり話を通すと、職員室を出て行った。


「ねぇ、マスコミに流した?」


希美は颯太を呼び出した。


「何を?」

「知らないならいい。」


「まさかバレたのか?」


希美は何も言わない。


「疑わないのか?俺を。」


「誰が流したのかは重要じゃない。これからどうするかが重要なの。」

「そうするんだ?」


「言う訳ないでしょ。ただのクラスメイトに。」


希美はそう言うと去って行った。


「ただのクラスメイトねぇ。」


颯太は面白いものを見る目で希美の後ろ姿を見ていた。


その後、希美は早退をし家に帰った。


「琴ねぇ、大丈夫なんとかなったから。」


『そう、よかった。事務所も出所を探ってるんだけどわからないみたい。』


「まぁ出ちゃったのは仕方ないね。」


『希美、気をつけてね。』


「わかってる。」



 次の日、記事は大々的に出た。何処の情報番組もその記事を取り扱っている。

 一方、担任の青葉は「マジか。」と声を漏らし。クラスメイトは突然、登校しなくなった。二ノ宮 希美は空星 希なのかと探り、杏奈はあの時の希美の表情は何だったのだろうと考えていた。

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