思いと願い
「二人とも。鳳翠ちゃんを許してあげて。あの子もあの子なりに頑張って来ているから。」
凛さんは俺たちに事件の真相を話すと鳳翠の代わりに謝罪した。
「残念だが。その話で俺は何も変わらない」
「先輩!」
俺は凛さんの謝罪をキッパリと切り捨てると夜月は立ち上がって怒ってきた。
「俺は鳳翠に怒ってもいねえし。裏切られたと思っていねえよ。それにあんたが俺たちを助けた。それで十分だろ。それに今はこれで終わりじゃねえ。彩花に美沙。香ノ木さんだって捕まっている。それにあいつには俺たちの子どもを預けているんだ。助け出さねえといけねえ」
「先輩…。」
俺は夜月と目で通じ合わせて頷き合った。
「あなたたち。_その年で?_」
「違いますよ!!!」
夜月は凛さんの割り込みにも即座に否定を入れた。
「先輩!余計なことを言わないで下さいよ!」
「悪かった。」
夜月は嬉しそうで恥ずかしそうに怒ってきた。
「俺たちで人質になった奴らを助けに行くぞ。」
「はい」
俺と夜月は決意を固めた。
「それと凛さん。私の体を治していただき、ありがとうございます」
「私は何もしていないよ。勝手に治ったのよ」
凛さんは冗談が好きのようで夜月を治したことを認めなかった。
「凛さん。私たちがあなたの家族。お二人を連れ戻してきます」
「お願い。二人とも」
「はい」
「ああ」
凛さんは嬉しそうに笑顔になり、魔法を展開した。
「それじゃあ。よろしくね。」
魔法陣で俺たちを覆い、目の前が白く光った。
俺たちは現実世界へと戻るとそこは街でも有数のカジノの前だった。
「ここにあいつらがいるのか?」
「恐らく。チャン家が住まう建物の中でも昔から所持している場所であると凛さんから聞いております」
夜月は周囲を見て違和感がないのか。危険なところがないのか探していた。
「先輩。行きます」
「ああ。」
夜月は魔法をいつでも撃てるように魔導書を構えて進む。
「ちょっと待て。流石にこっそりと行くぞ。人質がいるからな。」
「はい」
俺は危険な夜月を留めて一般人として振る舞った。
「改めて行くぞ」
「はい」
夜月は俺に返事をすると魔導書を隠して建物へと入った。
「何か普通と言うか。これがまあよく言われているやつだな」
怪しい所というものはないもののオワイ顔の男が入り口を塞ぐように立ち、入ってくる人を監視していた。
「先輩。この先はどうしますか?」
夜月は初めて来た世界に心配な面持ちで俺を見つめていた。
「ここは子供が来る場所じゃねえよ!」
監視していた男は俺に鋭い眼光で睨んできており、逃がさないように瞬きもしないでじっとしていた。
「先輩…。」
俺は首にかけていた魔導書に手を伸ばすと、緊急アラームとともにアナウンスが建物内で鳴り響いた。
『侵入者が商品を持って逃亡中。至急確保をすべし。直ちに入り口を封鎖。』
「これは一体…。」
「夜月。行くぞ!」
俺は夜月が混乱の状況に読み取れていなかったようだったため手を掴み、建物の奥へと進んだ。
「待て!」
男たちの制止を振り切り、俺たちは動き回る人の根元へと進んでいく。




