箱庭の日常①
「おい。その話は本当なのか。」
「ああ。間違えない」
「例の島に出現した魔王は極東の魔法学園で存在が観測されるとは…」
「くそ。あの学園には…例のものが」
ここは魔王を敵とみなす組織、五角会の本部。龍の棲家。そこには九人の男が会議を日々行い、その決定に下が動く心臓部の存在である。
「ではそう言うわけで、あの男。…望月封魔を含めた魔王に与する学園を殲滅する。」
俺は国立ゼルビス学園に入学することとなり、学校の案内を含めた準備を一日で終えた翌日。
「先輩。授業が始まりますよ。早くしないと遅刻してしまいます」
女の子の声で俺は起きた。見慣れない天井。木組の部屋は自然の暖かさもあり、落ち着いた雰囲気を生み出していた。
「先輩。ちょっと。聞いているのですか?起きないと遅刻を」
「ああ。分かっているから」
俺は女の子が聞こえてくる方に手を伸ばし、頭を撫でようとする。その手が何かに当たった感触がした。それは間違えなく、人の体だった。丸くて柔らかい。そこに俺の手が当たると、女の子の声は妙に嫌らしい声になった。
「せ…先輩?どこにちょっと。やめ…」
俺はその声が気になったのでようやく目を開けて見てみる。
「おはよう。夜月、朝なのか?」
「ええ。そうですよ。そうですが!」
女の子の名前は九重夜月。俺の監視役としていつも見守ってくれているとても心優しい女の子だ。
「私の胸から手を話して下さい!!この変態!」
「ギャー!」
俺には厳しい一面もある。だが、そんなことも俺の一声「ごめんな。夜月」で許してくれる。
「全く。では今回は実践練習の際に無防備三十秒で許してあげます」
「それって」
「もちろん。私が先輩を的に魔法を打つけますが?」
夜月はさぞ当然のように俺に死ねと命じる女の子。先程の話は前言撤回だ。この女の子は魔王となった俺にも容赦のない怖い女の子である。
「待ってくれ。夜月、それは流石に俺でも」
慌てた俺は布団から飛び出て起き上がった。
「先輩。それは何ですか?」
「それって?何だ?」
俺は寝ていた布団を見つめる夜月に合わせて見てみると、そこには生まれたままの女の子が布団に隠れるように寝ていた。
「違うぞ。これは!弁明させてくれ」
「言い訳をどうぞ」
「こ…これは…」
「これは?」
夜月は俺の弁明に対しても怒りを露わにして鬼のような表情で睨んできた。
「何だ?」
「ふん!!!」
「ぎゃあああー。死ぬ死んじゃうから俺の体がー」
夜月は俺をプロレスの技、海老固めで締めてきた。
「足。足が砕ける。ギブ!ギブだ!ギブアップ!」
「ネバー?」
夜月は本格的に俺を殺す気でいるのか。意味を変えた言葉に変えてきた。
「ぎゃああああ!!」
「もう。魔王。うるさい。私が寝ているのに」
俺の叫びにようやく御伽話も驚く、新種の眠り姫が目を覚ました。
「何をやっているのですか。美沙さん。ここは先輩の部屋ですよ。また勝手に寝ていたのですか?」
「だって。私の部屋で寝られないし」
この子は妖雲美沙さん。俺をいつも陰ながら助ける頼れる魔導士。ではあるものの他の面では問題があり、部屋には重要なもの基、ゴミが大量にあり、睡眠は俺の部屋に入り浸り、挙げ句の果てには全裸で睡眠と男を劣ることに限って右に出る者がいない変態である。
「魔王。今日も暖かかったよ」
「な!誤解を招く言葉を使うな!」
「それより美沙さん服を。服を着て下さい!」
夜月は収拾が付かなくなってきた状況を治すために必死に抵抗をしているが、対応が追いつけておらず、叱っている。
「全く」
俺が美沙の姿に困り果てていると部屋の扉が開いた。
「全く。あなた方は一体何をしているのですか。学校のチャイムがあと五分でなりますよ」
注意喚起に来たのはこれもまた綺麗な女の子だった。質実剛健、文武両道を羽織ってような女の子は目つきを鋭くしてこちらを睨んで言った。
「な!一体何をやっているのですか。この穢らわしいゴミ男ぉぉぉ!」
「待ってくれ!待て!待て!俺死ぬから死んじゃうから。ぎゃあああああー」
女の子は俺の上裸姿に加え、全裸の美沙の姿を見て、異形の力魔法と呼ばれる力で俺に攻撃してきた。
「ふう。大丈夫だった?魔王」
俺は生きていたそれもこれも俺を庇ってくれた全裸な変態の美沙のおかげだった。
「お…おう」
俺は美沙が抱きつきながら守られていた。それはすでに変態によって間違いが起きてしまいそうな姿で。
「この変態!」
「オウェ。」
どうやら物理攻撃には効果がないようで俺はそばにいた夜月のパンチで気を失ってしまった。
「これどうしますか?」
「知りません。それより。早くして下さい。授業が始まります」
「私が持っていく」
「分かりました」




