十人の英傑②
「ちょっと待て。つまり」
「私が監視する」
封魔の話を飛ばして、美沙は監視役に立候補した。
「ちょっと。あなただけじゃダメよ。」
「どうして?」
「それは…」
美沙は彩花と何やら揉め出しようだった。
「良いでしょ。私と夜月がまたやるってことで」
「彩花さん?」
彩花は夜月を引き合いに監視役を務めることに立候補してきた。
「おい。封魔。お前は『俺のために争わないで!』って言わねえのか?漫画みたいに」
真面目な話の間にも雅樹は冗談を混ぜた茶化しをやめず、やたらと封魔との雑談に講じていた。
「バカなのか?お前は」
「その人はいつもそんな感じなのか?」
封魔と雅樹の会話に混ざってきたのは男子一人残されていた鳳翠だった。
「ああ。そうだな。いつも冗談半分で暮らしているぞ」
「封魔よ。お前は俺をなんだと思っている」
封魔と雅樹は鳳翠がいる場でもいつもと変わらず、どうでも良い話をしており、止まることもなかった。
「俺はお前を真面目な奴とも思っていないし、むしろ腐れ縁の仲だと思っているぞ」
「腐れ縁って、まあそうだが」
「それであの人たちはどうする」
鳳翠は女子生徒の集まりに指をさして話す。
「どうするって。俺には関係ないしな」
「何言ってんだ。あの子たちはお前を誰が奪うのか喧嘩しているんだぞ」
封魔は誰でも良いと思いながらも雅樹の話にも説得力があったので見ていた。
「なあ。封魔は誰に監視されたいんだ?」
雅樹は男子だけでなく、女子にも聞こえるくらいの声で封魔に質問をした。そのため話していた女子は封魔の方を睨んできた。
「誰って。誰でも良いが、まあ。気楽のは男同士の方が良いんじゃねえか?」
「え?」
「お前なあ。そっちの趣味が」
「はあ?…ちげえよ誰がお前たちを」
封魔の答えを待っていた女子は意見を聞いた途端、さらに騒がしくなり、どうするのか考えている。
「だったら女子の中だと誰なんだよ」
「まあ。今までと同じ夜月が良いんじゃねえの?」
封魔の意見を耳にした夜月は嬉しそうに頷きながら聞いていた。
「それにどうでも良いし。」
封魔はあくまでも誰でも良いことに拘っていたため言ったが、女子は目つきを変えて封魔を睨む。
「先輩」
「お…俺は用事ができたから外すな。鳳翠も来るか?」
「あ…はい」
雅樹は何かを察したのか鳳翠を誘い別の場所へと移動して巻き込まれないように避けた。
「どうしたんだよ。夜月。…こ…九重さん?どうしてあなたは魔道具を出したのですか?」
「死ねえ!」
「ギャー!」
封魔は夜月による魔法によりボコボコにされ、ボロ雑巾のようになってしまった。
「雅樹。お前には報いを受けてもらうからな」
「は?」
雅樹の行動に不服な封魔は報復に鳳翠に雅樹の際どい趣味を話した。
「実はあいつ。一人の女の子を必死にストーキングしていたんだぞ」
「そうなのですか」
「そうだぞ。それにいなくなったと思ったらゾンビみたいに徘徊していたんだよ。あいつの趣味はマゾにも似た癖があるから気をつけろ」
「おい。それ以上はやめろ!」
雅樹は封魔の話を止めようと封魔の体を掴み、投げ飛ばした。
「全く。先輩、冗談はそのくらいにしてください。大体、先輩も人のことを言える立場ではないでしょ」
夜月は封魔の手を引っ張り教室に戻し、話をまとめた。
「おい。夜月、それはどう言うことだよ」
「事実のことを言ったまでです。って話をさせてください。この先のこと。まず私が先輩を監視します」
夜月は封魔の邪魔に話が止められたことに怒りながら話を戻した。




