040、古き禁足地
短いので今日は二つです。
――古い話をしよう。
――神成山が禁足地となった理由だ。
理由そのものはごく単純だが、二つの理由が重なっていたというのは若干理解を妨げる要素かもしれない。
一つは小鳥谷たちもであった神成山のあやかし姫。大岩たる彼女が鎮座しているこの山が神域であることは間違いのないことである。
もう一つは、あやかし姫の加護・寵愛を受けた一族がかつてこの地にいたという事、それは昔々、日本列島に統一王朝ができるより前の時代に神成山は、一人の王が治める地にあった。
彼、及び、彼の一族が王となった理由は、この時代には本来ありえないものを有していたからだった。鉄、鉄器、鉄の武器。周囲よりも一段、二段と高い強度と靭性を持って、周囲を平らにした彼らの鉄の供給源こそが、この神成山であり、だからこそ、何者の足の踏み入れも禁じたのだ。そんな怪しげな彼らを製鉄の怪異と見たのも仕方ないところであり、それが故に討たれた。
あやかし姫の寵愛を受けて製鉄の技を手にした彼ら、歴史から消えてしまった彼らを主役の片方とするなら、彼らの合いの手をとるもうひとりの主役がいる。
それは――赤鉄鉱。
世にもありふれたる、含鉄の石。
その赤鉄鉱が、欠けなき大きな塊であり、見目の美しさも備えていた場合、貴石としてこう呼ばれる、ヘマタイト、と。
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