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オーバーデータ  作者: 天地 優介
電脳少女?
4/6

白熱のバトルフィールド

今回はがっつりバトル回。そして急展開。


ブックマークしてくれてる人もいるし、評価ポイントをつけてくれた人もいてとても嬉しいです。

次の目標はレビューか感想がつく事ですね。活動報告にもきていただければ嬉しいけど、欲張りすぎはいけませんね。


巧とエイトがデータハイヴをその身に宿す龍と戦っている頃。

コマンドー2こと二星藤孝と、コマンドー3である三菱冴子はある場所に向かっていた。

藤孝は銃撃戦に特化し、自立稼働とマニュアル操作を切り替えれる高性能ビットを、背部に四つ装備している緑と白のカラーのDM【ロックオン】を、冴子は万能型DMで紫と白に、赤も混じったカラーリングの【マテリアルダンサー】を、それぞれ人型サイズで纏っていた。

これから向かう場所は人に向かう所を見られればまずい場所なので、2人とも人サイズでの行動である。

とはいえ、本来のサイズもロックオンは10メートルと巧のスサノオの35メートルに比べてそれほど大きくはなく、マテリアルダンサーはそもそもサイズが変わらないのだが。


『まさか、電脳世界にここまで大きな施設を作っていたなんて……』


『電脳世界内はある程度実体世界の景観を再現している。可能性は十分ににあったが、範囲が大きすぎて特定できなかったが……まさか、新しく施設を作ってしまっていたとは。……六助さん、目的地は?』


『そこから2時の方向に500メートルの地点です。もうすぐですよ』


彼等が向かっているのは、非合法な組織によって運営されているDMどうしが戦う闘技場であった。

以前からその存在は掴んでいたが、得た情報から推測できるにかなり大規模な施設であったため、既に電脳世界内にある施設を利用しての事だろうと思われていたが、エイトが勧誘された日に巧が倒した犯罪者から、新しく作られた闘技場が存在すると判明した。


『あの情報が本当だとしても、これだけの規模の施設を作れるなんて……本来のサイズのスサノオでも、すっぽり入っちゃうような大きさですね』


『……そうだな、さて、そろそろ見えてきたが……どうやって潜入しようか?』


藤孝の言葉に冴子は驚く。


『何も考えてなかったんですか⁉︎』


『いや、複数のプランはある』


『じゃあ、教えてください』


『………とりあえず、飛び入り参加OKらしいから、潜入するよりも普通に出場してみようか。うん、そうしよう』


『……何も考えてなかったんですね?』


『ま、まあ。どうせ警察を呼ぶにも強力なDMをこちらで排除してからじゃないといけないし、ね?六助さんも、そうは思いません?』


『……そうですね、とりあえず察知されると任務に支障がでるので、こちらは通信をしばらく切る事になると、忠告しておきます。まずい事になったら通信をよこしてください。出来うる限りの事はしますので。…正面から行くというのは良い作戦だと思います。』


『……わかりました。それでは、しばらく』


『了解です。ご武運を』


闘技場前に到着すると司令室との通信を切り、堂々と中に入ろうとする2人。そこを闘技場の警備に見つかるが、大会の参加者であると伝えると、すんなりと中へ入れた。


『……真面目に警備するつもりがあるんでしょうか?ここの警備員』


『まあ、僕らの存在はあくまで都市伝説程度だし、ここには後ろめたい事情のヤツがたくさんいるからね。少し調べたらそのままだろうさ。まして、今は大きな大会が開かれている。無駄に問題は起こしたくないんだろうさ』


『なるほど……警察官時代は伊達にカミソリなんてあだ名で呼ばれていたわけではありませね。今はカミソリというか、ヒゲソリって感じですけど』


『……君も言うようになったね』


闘技場内の受付で参加手続きを済ませる。大会参加者はあくまで非合法のものということもあり、それ程多くはない。飛び入り参加は自由だが、トーナメント方式という事もあり、あくまで当日、大会が始まる前ならOKというだけである。参加手続きを済ませた後、2人は控え室で待機。試合のルールを聞いた後、試合開始まで待つ。


『ルール無しかと思っていたので、相手の命を奪ってはならないというルールと、必ず2人組での参加、人型サイズでの戦闘というルールがあるのは以外でしたね。てっきりいろんなサイズのDMが入り乱れるものかと。それ以外はほとんどなんでもOKなのと変わりませんが』


『人型サイズでなのは、最近、【ドッグマスター】あたりの事件で、警察の操作が厳しくなってきてるからだろうね。……ルール無しの方が良かったのかい?』


『まさか、そんなわけありませんよ。ただ……』


『ただ?』


『楽な仕事になりそうだと、そう思っただけです』


その後、しばらく控え室で調べ物をしていたが、ついに2人の出番がやってきた。

一回戦の相手はそこそこ有名なコンビで、茶色のDMで鎖付き鉄球を振り回す【ジャンゴグ】と鋭い爪を武器とする白いDMに乗った老人【ウォンカツ】のコンビである。

この大会には多額の賞金が賭けられているが、その実態は後ろめたい事のある金持ちどもが自らの戦力を誇示するためのものだ。この2人も裏社会ではそこそこ名の知れた存在なのだが。


『余裕だな』


『余裕ですね。私の万能型のDMならば、2人まとめてでも簡単ですよ』


『ホッホッホ、威勢のいい若造どもが生意気言ってんじゃないぞ』


『オレ、怒ったぞ!』


余裕綽々の2人に怒るジャンゴグとウォンカツ。場の緊張感が高まってきたところで、試合開始のゴングがなる。


カァーーーーン


という甲高い音と共に藤孝は後方へ飛び、高所に設置されている足場を確保。冴子は敵の出方を伺いつつ動き回る。

藤孝が銃使いなのは装備を見れば明らかであるので、まずは藤孝から排除しようとする2人。しかし、ダメージは小さいが、ジャンゴグが藤孝に鉄球を投げようとすれば冴子がジャンゴグの背部に蹴りを入れて妨害。ウォンカツが藤孝を狙って高所へと飛んでも、ウォンカツが飛ぶ高度まで一気に跳躍して叩き落とす。

対して藤孝は先程から冴子を援護しているものの、辛うじて冴子にエネルギー弾が当たっていない程度でしかなく、ジャンゴグとウォンカツはまずは冴子から仕留める事にした。


冴子の行動パターンが一定である事を読み、次の冴子の移動予測地点に向かって鉄球を投げるジャンゴグ。そしてウォンカツは冴子が予想ルートから外れないよう、それとなく妨害する。


『………っ!』


ゴォォォンッという鈍く重い音とと共に、冴子に鉄球が当たる。

弾き飛ばされ、壁にぶつかると気絶した様に動かなくなる冴子。

ジャンゴグは冴子に近づくと鉄球の鎖で冴子を拘束。


『ははは、どうだ!そこの銃手!お前の頼りになるお仲間は捕まえてやったぞい!』


ウォンカツは藤孝を煽ると、藤孝がいる高所まで飛び、藤孝の背後を取る。

背後を取られた藤孝だが、焦らずウォンカツにある質問を投げかける。


『……一つだけ聞かせてくれ、【ドッグオーダー】の名に覚えは、ないか?』


『あ?そんな奴ら見た事も聞いた事もないわい!というかお前ら含めてこの大会に出てる奴ら弱すぎだわ!ワシらのコンビより強そうなヤツがおらんわい!』


『……余計な事までベラベラ喋ってくれてありがとう』


『あ?』


ウォンカツが藤孝の発言に反応したとき、ウォンカツは藤孝の姿に違和感を覚えた。何かが足りないと。


『……ファイア』


藤孝のその言葉と共にウォンカツは背部に衝撃を感じる。それと同時にウォンカツのDMのパワーが下がってゆく。

そこでウォンカツが違和感の正体に気づく、藤孝のDMが背部に背負っていたユニットが無くなっているのだ。背部のユニットーービットはそれなりに目立つが、冴子に翻弄されていた時にウォンカツはその存在を忘れてしまっていた。藤孝が一切ビットを使わなかったのが原因だ。

動かなくなるウォンカツのDM、しかしウォンカツは諦めていない。今ジャンゴグが人質を取っているのだ、自分達が負けるワケがない、と。

しかし、それは浅はかな考えだった。


『……いつまで人の事を縛りつけているつもりです、かぁ⁉︎』


気絶していたはずの冴子が突如ジャンゴグに対して裏拳を放つ。密着状態から放たれたため、避けられず吹き飛ぶジャンゴグ。鎖に引っ張られそうになる冴子だったが、力づくでジャンゴグの手から鎖を外し、ジャンゴグと共に吹き飛ぶのを防ぐ。


『お目覚めかな?お姫様』


『寝てませんよ。フリです』


『……マジレスはやめて』


どうやら敵からわざと情報を得るための作戦だったようだ。控え室でしていた調べ物というのは、この大会の参加者を調べていたのであり、そこから彼等が追う犯罪組織【ドッグマスター】と最も関わりが深そうな参加者を調べていた。そして、一回戦の相手がその参加者であったのだ。そりゃ楽な仕事である。

楽な仕事である理由はもう一つある。それはウォンカツとジャンゴグ、この2人しかドッグマスターと繋がりがありそうな参加者がいなかったためだ。

この2人から情報を抜き出した後は、適当に闘技場内の強力なDMを排除した後、警察に連絡すれば任務は完了。楽な仕事である。


『う、うう……くそっ!役立たずのジジイが!オレ1人でも十分だ!』


そういって突撃するジャンゴグ。大質量の攻撃だが、藤孝と冴子は冷静に対応する。


『……お年寄りは大切に』


『藤孝さんの言えた事ではないですね』


藤孝がジャンゴグの纏うDM、その装甲の隙間に射撃を命中させる。射撃を当てた場所はジャンゴグの持つジェネレーターに近い部分で、ジャンゴグの纏うDMはその機能をほぼ停止させ、止まる。

そして、機能を停止し、棒立ちとなったジャンゴグのDMの前に冴子は立つと、蹴りの体制に入る。

マテリアルダンサーの脚部に装備されているバンカーがインパクトの衝撃を高めるべく伸びる。


そしてーー


『乙女の柔肌を!縛り付けるなーー!』


ゴガォォォォォン!と冴子に鉄球が当たった時よりもはるかに鈍い衝撃音が響くと、DMを纏ったジャンゴグが闘技場の壁へ吹き飛ぶ。壁に衝突し、DMが崩壊する。DMの中のジャンゴグが出てくるが、気絶してはいるが、命は無事のようだ。


『……柔肌?』


『ものの例えです』


ジャンゴグを撃破した2人は、ウォンカツの方に振り返る。既にDMが機能停止しているウォンカツは、逃げる事もできず2人に見つめられる。


『さて、御老体。できれば老人虐待など、我々もしたくはないのですが』


『降参してくれませんか?お体にさわりますよ?』


もちろん、この問いにウォンカツが降参と即答したしたのは、言うまでもないだろう。



















「……というわけで、結局ドッグマスターに繋がるものは何も」


「そう……。2人とも、よく頑張ったわね。巧君も戻ってきてるし、この後は居酒屋にでも行きましょうか。……ところで、闘技場はどうなったの?」


「ああ、通信してませんでしたね……あの後、闘技場内のDMを全ハックしようとしたら、バレまして。警察に連絡した後は、警察では対処できなさそうなDMだけ潰して、後はほうほうの体で逃げ帰ってきました」


「……藤孝さんがあそこで罠に引っかからなかったら……」


「……君こそ、どうにか僕が誤魔化そうとしたというのに……!」


「藤孝さんが!」


「君が!」


「「ぬぅぅぅぅぅ……」」


「……2人とも?居酒屋には私達だけで行くから、2人はゆっくり休んでてね…?」


「「すいませんでした」」




『……いーなー居酒屋、私も行きたいですよ、五華さん』


「ふふ、エイトちゃんが何歳かはわからないけれど、実体世界じゃねえ……携帯にエイトちゃんのデータを入れるにしても、容量が足りないし、パソコンを持ち歩くワケにもいかないし」


『そうなんですよね……あーあ、実体世界でも、私の意思が保てたらなぁ……』


「ふふ、今回はちょっと難しいけど、なんとかしてあげるから、それまで我慢してね?」


『う〜でも、行きたいなぁ……よし!頑張ってみよう!……ふんんんんんんんん』


「ふふ、頑張れ♪」


『んんんんんんんんんんん!』


「ふふふ……って何?この光」


『ふんんんんんんんんんんん!ふーーんっ!』


「何の光⁉︎」


そこで他のデンタイメンバーも以上に気づくが、その時には既に光は収まっていた。 ……光が収まった後には、見覚えのある少女がいた……妖精のようなサイズだが。


「…………あっ、やった!やりましたよ!五華さん!」


「「「「「「「………………………」」」」」」」


「………あ、あの?皆さん?」


「「「「「「………ええええええええええ⁉︎」」」」」」


「……まさか、こんな事が」


「……ありえない………」



本来ありえない実体世界への電脳世界の住人……電脳体の進出。

この事が、のちにデンタイはおろか、日本全土をも巻き込む火種となってゆくのだった……







次回予告


「……というわけで実体化しました!」


「何故でしょうか?」


「何故なんでしょうねぇ。それより冴子さん、次回予告!」


「あ、はい。それでは次回予告。たまり続ける脂肪。乙女は悲しみの中に何を見る……次回、『センチメンタル・ファイヤー』。合体ロボは、男のロマン」


「ボト○ズ風の次回予告、ありがとーー!」


「っ〜恥ずかしいですよ!こんなの!」


「まあそう言わずに。それでは次回も〜オーバードライブ!」


「今回使いませんでしたけどね」


「それ言っちゃダメ」

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