異世界ですよこんちくしょー
特に無いけど、前書き後書きは埋めないとという謎の使命感が…。
「・・・・・・」
もうなんだろうね。ここまで予想通りだと泣けるのを通り越して笑いたくなるよ。
鬱蒼とした巨大な木々。何処からともなく聞こえてくる獣の鳴き声。感じられる雰囲気から、この森には人の手が全く入っていないと断言出来る。
「完全に秘境ですやん・・・・・・」
まさか花ちゃんの予想がガチで的中するとは・・・・・・。俺、直ぐに死ぬんじゃないか?
「いや、まだ諦めるのは早い。先ずはこの世界とかの知識だ」
絶望するのは、ヘルメス様に植え付けられた異世界と俺のチート?の知識を確認してからだ。
「けどその前に、獣とか来そうだから木に登っとこ」
こんな秘境だ。狼的な猛獣も居るだろうし、地面で座っているのはマズイ。
取り敢えず、下手な動物じゃ登れないぐらいの高さまで登っておこう。
「よっ!・・・っとと。ほいっとな!」
いやー、ズーと一緒に木登りしてた経験がこんな所で生きるとは。人生分からないなぁ。・・・・・・でも、それで一回木から落ちて冥界に行ったんだよな。あれ、ヘルメス様の話通りだと俺、死んでたんだよな。
「ふぅ・・・・・・。さて、それじゃあ身ましょうか」
この高さならまあ大丈夫だろ。・・・・・・熊とかだったら登ってきそうだけどな!
えーと、最初はこの世界の知識だな。
「・・・・・・うおっ!?何か出た!」
凄え!知識見ようとしたらウインドウみたいなの出てきた!
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このせかいのちしき。
なまえ:いざなみ
このせかいのなまえは、ラーマーヤーナっていいます。このせかいには、まりょくというのがあって、まほうがあって、まものっていうモンスターがいます。
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「イザナミィィィ!!!」
ウインドウを見て怒鳴ってしまった俺だけど、絶対に悪く無いと思うんだ。
つーか、あの駄女神おちょくってんのか!?何で幼児テイストなんだよ!ほぼ平仮名とか凄え読みづらいから!ガチで俺の生死掛かってんだぞ!自重しろマジで!
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魔力を所持した生物を倒すと、その魔力が倒した存在に吸収され、一定以上の魔力を吸収すると全能力が上昇する。これをレベルアップという
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「あ、戻った」
ウインドウをスクロールしたら普通の文になったので、ホッと一安心である。
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また、魔法の才能や特殊な技能などは、スキルとして認識する事が出来る。
スキルは、魔法の才能や耐性といった所持しているだけで効果を発揮するパッシブスキルと、意識して使用する事によって効果を発揮するアクティブスキルに分けられる。
更に、エクストラスキルという、強力で独自な効果を持つ特殊なスキルも存在する。
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「へえー」
うん。へえーとしか言えないよコレ。何か色々とツッコミたいけど、異世界なんだから地球の常識なんて無意味なんだろう。
「次は鑑定眼だな」
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鑑定眼
魔眼のアクティブスキル。
知りたいと思った物に使用する事で、対象の情報を知る事が出来る。
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「ほうほう。中々の効果じゃないか」
やはり鑑定眼だとあって、情報系の能力らしく、上手く使えばかなり便利だろう。右も左も分からない異世界だ。情報を得られるのは大きい。
「ちょっと使ってみるかな」
鑑定眼は、鑑定と言えば発動するみたいだ。
「うーん。この木でいいかな。鑑定」
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世界樹
この世界に存在する神木の一つ。世界を支えていると言われる程に巨大で、その葉はあらゆる異常を治し、樹液はどんな致命傷でも快復させる。また、その枝は神代の鉱物を除けば上位に入る硬度を持ち、研いだ枝は竜の鱗も容易く切り裂き貫く。
世界樹ユグドラシルの折れた枝を鳥が運んきて、奇跡的にこの地に根を張った
樹齢は二年。
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「いやちょっと待て!!」
この木、滅茶苦茶ヤバイ代物じゃねーか!世界に存在する神木の一つが何でこんな普通に生えてんだよ!
俺座っちゃってるけどこれバチ当たんないよな!?
「そしてどんだけハイスペックなんだこの木!」
薬になって武器になるとか便利過ぎるだろ!
あと樹齢二年って何気に若木だし!それでも普通の木よりは大きいんだから流石は神木。
「やべえ。詰んだと思ったけど結構ツイてるぞ」
最初は、生きる術が無い状態で秘境に跳ばされ詰んでいたが、この世界樹のお陰で何とかなりそうだ。
ヘルメス様の言った通り、どうやら俺も運が良くなっているみたいだ。
「拠点はここだな。回復系のアイテムから離れる理由もないし」
現状俺には戦う手段が無い。鑑定眼は戦闘能力じゃないし、謎魔法は意味不明過ぎる。そんな状態で、魔物が存在する世界の秘境をうろつける訳がない。
なので、有る意味で安全圏であろう世界樹を拠点とする事にした。
「枝は武器になるんだよな?まともに使えないだろうけど、護身用に持っとくか」
鑑定では竜の鱗すらも貫くなど書いてあったので、まともに使えるかどうかは別として、持っといた方が良いだろう。
「えっと、手頃なサイズの枝は・・・・・・」
近くの枝の中から、取り回しに優れた程々のサイズの枝を探す。
「これで良いな」
枝の上を移動しながら探していると、ちょうど良さげな枝を発見した。大体、大きさは六十センチぐらいだろうか。太さは剣道の竹刀より少し細い程度だろう。
「バチ当たりだと思いますけど、これも生きる為なんです。ごめんなさい」
世界樹は神木との事なので、最初に一言謝罪しておく。一応、パンパンと柏手も打っておく。この世界で柏手が通じるかは不明だが、気持ちの問題としてやっておいた方が良いだろう。
そして、謝罪が終わった後、枝を採取する為に力を込めた。
「ふんっ!ぐぎぎぃぃぃ・・・・・・!!」
思いっきり力を込めて枝を折ろうとするが、まったくもってビクともしない。
・・・・・・いや硬いよっ!?木の枝の癖に何でしなりすらしないんだよ!?
「くそっ!何で駄目なんだよ!?」
流石におかしいだろ!なんで!?
「こんなん下手な金属より硬いんじゃ・・・・・・って、ああっ!」
呟きの途中で、さっきの世界樹の説明文を思い出した。
確か説明文にはこう書いてあった。『その枝は神代の鉱物を除けば上位に入る硬度を持つ』と。
「折れるかぁぁぁっ!!」
よく考えたら無理だろそれ!普通の人間が下手な金属より硬い物なんて折れる訳ねーよ!
「って、それじゃ樹液も無理じゃん!?」
そう考えると、木を傷つけないと入手出来無い樹液も無理という事に。
それはつまり、状態異常は治せても傷の治療は出来無いという訳で。で、俺が今いるのは、ヤバイ魔物とかわんさか居そうなどっかの秘境だ。
これから導き出される結論。それ即ち、俺はかなりの確率で怪我、それも大怪我の類をするだろうという事。
「・・・・・・やっぱり微妙に詰んでね?」
どちらかと言うと毒よりも怪我する割合の方がデカそうなこの場所で、怪我の治療が自然治癒だけとは致命的ではなかろうか?
「・・・・・・」
あんまり安全圏じゃない世界樹の上で、黄昏てしまった俺は絶対悪く無いと思う。
特に無いんですよねー