プロローグですよ 2
またもや投稿。
書きだめがなくなるまでは、投稿ペースは速いかも。
第二
「え、君本当に何者?」
「普通の高校生」
「普通の高校生が何で冥界に知り合いがいるのさ!?」
そりゃ、俺の運の悪さの結果だよ。既に冥界に七回ぐらい行ってるからね。
「ってか、何でイザナミ様と親しいの!?あの方結構気難しくて有名だよ!?」
「初めて会った時に、ダッシュで逃げたり追いかけたりしたら仲良くなった」
「ごめん、まったく意味が分からない!」
いや俺も知らねえよ。あの神様って感性が謎だから。
「………まあいいや。時間も無い事だしね。改めて自己紹介をしよう。僕はヘルメス。オリンポス十二神が一柱だ」
そう言って、モザイク神様のモザイクがとれていった。外見としては、十代後半かな。
「モザイクとっちゃって良いの?」
「うん。何か他の神と知り合いみたいだし、だったら問題無いかなって」
聞くと、神様達のルールなんだと。無闇に人間とかに姿を見しちゃダメらしい。
「………にしてもヘルメスか。こりゃまた結構なビックネームだな」
ヘルメスというのはギリシャ神話に出てくる神だった筈だ。神々の伝令使であり、旅と商売の神。
流石に、そんな大物が出てくるとは思わなかった。
「流石に、冥界の主宰神の一柱であるイザナミ様には負けるよ」
「あれってそんなに偉いの?」
「………一応、あの方は僕の上役だ。幾ら君がイザナミ様と親しいとしても、人間如きがアレ呼ばわりして良い存在じゃないよ?」
笑顔で忠告してくるヘルメス様。但し目が笑っていない。明らかに怒っている。物理的に感じる圧力がその証拠だ。
だが、それでも少し反論したい。
「いや、あの神様って割とマゾだぞ?」
「………はい?」
ヘルメス様からの圧力が霧散する。あまりに予想外だったのだろう。
「アレとかアンタとか呼ぶと喜ぶよ」
「………ごめん、その返答は予想してなかった」
一気に脱力するヘルメス様。まあ、俺も目上の人の性癖なんて知りたく無いしな。
「おほん!………じゃあ、気を取り直して、君には異世界に行ってもらうよ。理由は、イザナミ様から聞いてるようだから説明はいらないよね」
「容量オーバーでしたっけ?」
「そう。地球の人間は少し増え過ぎた。だから異世界の神々に協力してもらって、複数の世界に分けて転移させてるんだよ」
「要するにテコ入れ?」
「身も蓋もない言い方をすればね」
苦笑しながらヘルメス様は肯定する。
「君は、僕達側のミスによって色々と不都合な状況になっている。だから、せめてもの手向けとして、少し特殊な能力を与える」
「チートって事か?」
「そこまで大層な代物じゃないよ。君に与えるのは『鑑定眼』、魔眼の一種だ。後は、君の運を向上、って、ん?」
セリフの途中で止まったヘルメス様。………何だろう、この途轍もない嫌な予感は。
「…はい、ヘルメスですけど。…え?何ですか?…………いえ、ですがそれだと…………そっちの方が面白い?いや、流石にそれは・………ええ!?そんな理不尽な!…………はい、はい、分かりました。分かりましたよもう」
何かヘルメス様が、上司の無茶振りに振り回されるサラリーマンみたいになってら。
「予想は出来るけど、どったの?」
「イザナミ様から注文が入った。君に与える能力だけど、『鑑定眼』の他は自分で選ばせろだって。後、冥界から様子が観れる様に盗撮機能を付けろだそうだ」
「何を覗く気だあの女神!」
相変わらずあの神様は無茶苦茶だ!見ろよ、ヘルメス様がぐったりしてるぞ!
「一応聞きますけど、良いんですか?」
「あんまりよろしく無いね。でも、やらなきゃ降格、もしくは神格剥奪だそうだ」
「うわっ、理不尽!」
さっきの姿は見間違いじゃ無かったか!完全に上司で苦労してるサラリーマンだよ、この神様。
「………まあ、イザナミ様はまだマトモだよ」
「え?でも、結構マズイんだろ?」
「こんなのは全然。ヘラさんからゼウス宛の郵便物を届けた時なんて本気で死ぬかと思ったし」
ああ、確かヘルメス様って、神々の伝令使とかやってんだっけ。
「でも何故?それって只の郵便配達じゃない?」
「郵便物の中身が爆弾だったんだよね。それも核。渡した直後に爆発しそうになって、ゼウスどころか僕も死を覚悟した」
「怖えーなオイ!?」
いや確かに、ゼウスは女癖悪くてヘラが嫉妬深いみたいな記述あるけど、そこまでするか普通!?ヘルメス様が憐れ過ぎるぞ!!
「つーか、何で神様がんな物騒な物持ってんだよ!?」
「ヘラさん曰く、地母神の権能で作ったんだって」
「地母神ってそんなん出来んの!?」
「分子とかを集めまくったらしい」
神様にも居たよ!無駄な事に能力使う奴!馬鹿だろ本当!
「まあ兎も角、イザナミ様からのお願い、ってか命令で、君が自分で能力を選ぶ事になった」
「俺的には、能力よりもさっき言いかけてた、幸運みたいな方が良いんですけど」
「一応、そっちは付ける予定だよ。転移云々関係無く、君の運勢は作為的な物を感じるぐらい変だから」
「え?そこまでっすか?」
「普通の人間はね、七回も冥界には行かないの。冥界に行ってる事は、実質は君死んでるからね?」
やっぱ俺死んでたんだ。いや、中々にエグイ目にあってたから予想はしてたけど!
「まあ、運勢の方もイザナミ様の注文で、幸運の様なそうじゃ無い様な、って感じになるけど」
「あんの駄女神の野郎!!」
「駄女神て………それ、本人に言ったら殺されると思うけど」
「大丈夫!よく言ってるから!」
まあ、ぶん殴られたりはするけどな!
「さて、それじゃあ君に与える能力だけど、この袋の中から引いてね」
ヘルメス様がそう言って、巾着袋みたいな奴を出してきた。………何故に巾着?
「あの、何すかこの外見」
「え?パンドラの箱的な方が良かった?」
「全っ然問題無いですっ!むしろ俺巾着大好きっす!」
パンドラの箱とか物騒過ぎるだろ!あれって中身が災いだろ!?災いが詰まった箱から手に入れた能力とか嫌過ぎるわ!
「それじゃあ、中から一つ紙を引いてね」
「何このくじ引き感………」
なんだろう。神様からのチート的なのが手に入る筈なのに、スッゲーしょぼい。
「ちなみに、どんな能力があるんです?」
「え?………ああ、そうだね。じゃあざっくり説明しようか。当たり所だと、天候操作、時間操作、魔法創造とかかな?」
「ガチっすか!?」
やべえわチートきた!これで勝つる!!
「少しランクが落ちると、無限に物が入るアイテムボックス、色々な能力が付いた魔剣、一度行った事のある場所になら何度でも移動できる転移魔法だね」
おおー。確かに最初の奴よりは下っぽいけど、それでも十分じゃないか!
「普通ぐらいになると、異世界版グー○ルマップとか、異世界からでもネットを使える様になったり」
「マジすか!?」
やべえ、割とネットの方も魅力的なんだけど!?
「次は悪い方だけど、3○S、P○P、ゲーム○ーイアドバンス。あ、今言ったのはハードだけね。それとパ○ェロだね」
「ゲーム機ばっかじゃねーか!」
いや要らねーよ!?異世界じゃなくて地球で欲しかったわ!ってかハードだけでどうしろと!?
そして何でゲーム機に混じって車があんだよ!?統一しろよ!ゲーム○ーイとかにしとけよ!!
「それで、最悪だとタワシだね」
「それフレンド○ークじゃねーか!!」
パ○ジェロにタワシの組み合わせって、どう考えてもあの番組だろ!古いわ!
「ツッコミご苦労様」
「はあ、はあ………あの、それの中身誰が考えました?」
「もちろんイザナミ様」
「ヘルメス様俺を冥界に運んで!あの駄女神ぶん殴ってくる!」
「………死ぬよ?」
「刺し違えてでも一発かます!!」
「やめなさい」
何故止めるんですヘルメス様!俺はあの駄神に一撃入れれば本望ですよ?
「苦情は僕の方から言っといてあげるから、命を粗末にしない」
「しかし!」
「しかしも案山子もありません。さっさとくじ引きを引きなさい」
何かヘルメス様がお母さんみたいな事言い出したよ。そして何気にくじ引きって言ってるし。
「………分かりました。分かりましたよ!でもヘルメス様。あの駄神にちゃんと苦情は言っといて下さいよ?」
「分かってますよ。少し恐ろしいですが、それぐらいはしてあげます」
「後ついでに、そんなんだから男に逃げられんだよ。この性根腐った駄女神が!とも言っといて下さい」
「………君は僕に死ねと?」
ヘルメス様が顔を引きつらせてるけど、それぐらいは言って欲しい。
取り敢えず、言質は取ったからさっさと引こう。
「うーん………うし、これだ!」
普通の以上がでれば何も言うまい。
「えっと、どれどれ?………『謎魔法』?」
………なんだろう。いかにもヤバそうなのを引いちゃった気がするんだけど。
「あの、ヘルメス様。何すかコレ?」
「え、どれ?………ごめん、コレは僕も知らない」
ほらー!ヘルメス様が知らないって時点で嫌な予感しかしないよ。
ヘルメス様、わざわざデカイ百科事典みたいな奴取り出してるし!
「ちょっと待ってね。えーと、エニグマだから、あ行で……この辺りの…あ、あったあった」
「………どんな魔法なんですか?」
「えっと、『原初の神、カオスが作ったネタ魔法。魔法の対象を、変わった状態にする』………何これ?」
「オイ説明あやふや過ぎんぞ!!」
何やってんだよカオスって神様!?ネタ魔法とか作んなよ!
「………さて、それじゃあ転移を始めようか」
「待て待て待て!色々と何流そうとしてんだよ!?説明しろよ!」
「ごめん、もう僕には手に負えないわ。異世界の説明も含めて知識として頭の中に入れとくから。後で見ておいて」
「説明放棄すんなよ!?ちゃんと役目果たしてよ!」
「だって君と話してると疲れるんだよ!この短時間で僕の中の常識バッキバキだよ!?」
いや知らねーよ!?何で神様が人間に常識壊されてんの!?
「兎も角!もう時間も無いからこれで終わり!じゃあね!」
ヘルメス様がそう言ったと同時に、俺の周りが光だした。
「ちょっ!?待て、待ってー!?」
非難の声を上げるが、結局は俺は光に包まれた。………いや眩しいよ!
変人奇人が主人公だと、物語りの構成がとても楽だったり。