『ホワッツディス?』『ジスイズアペーン』
「ハウアーユウ?」
「えーっと……アイムファインセンキューエンジュー?」
私はトーマス。
日本で英会話スクールの講師をしている。
しかし日本人の英語力はひどい。
教科書の丸暗記なのか私が『ハウアーユウ?』と訪ねると10人に8人は『アイムファインセンキューエンジュー?』と返してくる。
インプットばかりでアウトプットができない。
だから日本人はダメなのだ。
発音が悪かろうがうろ覚えだろうがジェスチャーを使ってでも自分オリジナルの言葉で気持ちを伝えようとする努力の積み重ねが英会話力を鍛えるのだ。
「ミスタースズキ。ホワッツディス?」
「あー……ジスイズアペーン」
話す前に『あー…』とか『えーっと……』というのもよくない。
英文が聞き取りにくくなる。
第一『ジスイズアペーン』なんていつ使うんだ?
教科書の最初のページには大概この会話文が書かれている。
日本人は『これはなに?』『それはペンだよ』なんて会話を日常的にするのか?
断言するがそんな会話この世に存在するか!
ペンかどうかぐらい見ればわかるだろ!
この国の英語力は幼児レベルだ。
アパートに帰るとパパからペンと手紙が届いた。
私は手紙を読んだ。
『トーマス。実はお前は勇者なのだ……そのペンは伝説の剣……信じられないことかもしれないが……そのペンが伝説の剣だということは誰にも知られてはならぬ……もし知られたら……お前は死ぬ。近いうちにジャパンに魔王をなのる少年が……』
……くだらない。
あの厳格なパパでもジョークを言うのか。
私が勇者?ならもっと早めに言ってくれ。
私はもう39才だぞ?
でもペンは気に入った。
私はスーツにペンをしまった。
それからの一週間は怒涛の一週間だった……
『魔王』をなのる少年がテレビジャックをして『世界征服』を宣言し、トーキョーはモンスターで溢れ壊滅状態だった。
私は恐ろしい顔をし、翼の生えたデーモンの大軍に追われていた。
しまった!行き止まり!?
もうダメだ……殺される。
その時スーツに入れていたペンが光った。
取り出すとペンは翼の生えたソードとなった。
「オーマイガーーー!」
ソードが宙に浮く……当然それを握る私も浮く。
高い!
落ちたら死ぬ!
「キエエーー!」
デーモンたちの大軍が襲いかかってくる。
ソードはデーモンたちの攻撃を軽やかに避け、次々と彼らを切り捨てていった。
私はソードをしっかりと握りガタガタとふるえているしかできなかった。
デーモンたちを全て切り捨てるとソードと私はゆっくり着地し、ソードはペンに戻った。
まさか本当にこのペンが伝説の剣だとは……
ということはこの事が知られたら私は本当に死ぬのか!?
「えーっと……ミスタートーマス……?」
誰だ!? ……スクールの生徒のスズキ!まさかいまのを見られていた!?
「わたしは……近眼なんでよーくは見えんかったのですが……一つ訊いてもよろしいですか?」
よ……よし!完全にはバレていないようだ……ここはなんとか誤魔化さなくては。
「……ナンデショウ?」
『ホワッツディス?』
『ジスイズアペーン』




