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第五話 第三十三部 ヴィクトリア、レーフグレーン。
おばあちゃんが名前の描いてあるところを指差して説明する。そこには英語にも見えるが見慣れない文字が見える。ヴィクトリア・レーフグレーン。いったい何処の国の人なんだろう。
「スウェーデン人だよ。」
横で撫子がつぶやく。スウェーデン人、ということはスウェーデン語なのだろうか。そう思うと納得がいくかもしれない。
「って撫子読めるのか?」
「違う、展覧会で何度か会ってるよ。この名前は本名で私より一つ年下。スウェーデンでは誰もが知ってる有名人だよ。」
そういって俺はもう一度絵を見た。題名は下に訳されて書いてあった。「砂」なんとも不思議な題名なのだろう。そして絵も不思議な雰囲気を持っている。本当に砂なのかとも思える絵だ。これは俺にはわからない。撫子とか画家なら何かつかめるものがありそうな、そんな絵だ。
「この子の作品はスウェーデンに旅行したとき、オークションで購入したものなのよ。」
そういっておばあちゃんが絵を見ながらニコニコ笑っていた。
「あの時を思い出すわ。この絵を見た瞬間、感涙にむせたわ。」
そうしておばあさんはゆっくりとまた椅子に座る。でも俺は撫子の絵がこんな世界の有名な人たちと張り合えるぐらいすごいのだと実感することができたことに嬉しかった。




