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第五話 第二十九部 恋人になって、初々しくて。
「そろそろ…離そう。」
目黒の声にハッと気づいた生田は急いで後ずさりをした。泣いて抱きしめたあと、2・3分ほど抱きしめたままだったのだ。生田は頭をかきながら笑っていた。
「いや、ごめん。すごく…うれしくてさ。」
「うん…ありがとう。」
そういって生田は目黒のバックを持って渡した。
「ありがとう。」
これで二人は立派な恋人同士だ。生田は心の中で嬉しさがこみ上げていたが、ややパニックになっているところがまだ残っていた。でもパニックも少しずつ消えていった。
「これからはさ、よ、よろしくな。」
「よ、よろしく。」
やはり恋人に成り立てのときはぎこちない気持ちがある。二人はふたたびモジモジしはじめたが、目黒が思い切って勇気を出し、生田の手を握った。
「ななっ!?」
生田は顔を赤らめてまっすぐにビシッと立った。
「手、握るね…。」
そういって目黒も顔を赤らめながら生田の方を向いた。生田が目黒を見ると首をブンブンと振って恥ずかしさを見せないように意識していた。
「いいよ。か、帰ろっか。」
二人は手を握ったまま家へと帰っていった。しっかりと恋人つなぎで離さないようにつないでいた。




