第五話 第二十部 目黒がやってきて、生田が元気出て。
キーンコーン…
昼休みだ。今日は俺と撫子の二人で弁当を食べる日だ。撫子は椅子を持ってこっちにやってくる。
「ねぇ拓斗、生田の様子はどう?」
生田は俺の二つ前の席だ。一時間目からチラチラ見ていたが、勉強には集中できているようだが、時々ため息が聞こえてくる。恋愛なんてそんな簡単なものじゃないよ。俺たちが言えることではないが、俺と撫子は特別な例だと思ってほしい。生田は弁当を出す様子を全く見せない。まさか今日弁当持ってきてないとかか?
「あの状況じゃちょっとな…。」
「うん…。」
俺たちは弁当を空けて食べようとした。
「あ、ちょっとまってて。」
横を向いた撫子が俺に言った。そして向いた方向に歩いて行く。そこにはドアの端から目黒がちょこんと見えていた。何か撫子が目黒と話している。そして、戻ってきたかと思いきや、生田のところに向かっていった。
「生田くん。ちょっとご飯持って来て。」
撫子は生田の方をポンポンと叩いている。生田はうつむいていた顔を上げてカバンの中から袋を取り出した。コンビニで買ったご飯みたいだ。ゆっくりと立ち上がる。
「あ、椅子は要らないよ。こっち来て?」
「?」
生田は何が起こっているのか全くわからずに撫子につれられ、ドアの前に向かっていく。
「こ、こんにちは。」
目黒が生田と目を合わせると挨拶をした。俺は声聞こえるぐらいのところまで近づいた。
「め、目黒さん。どうしたんですか?」
「あの…ご飯一緒に食べませんか?」
生田はプルプルと腕を震わせ、カサカサとビニール袋の音を立てる。
「よ、喜んで!!」
生田はご機嫌な声で返事を返した。その声は教室中に響きわたるほどだった。周りの目を気にせずに生田は目黒と共に歩いていった。
「案外、上手くいくかもね。」
撫子が微笑ましい顔で俺を見る。
「そうだな。」
「……えへ。」
「かわいいなあ。」
「恥ずかしいよ。学校で言わないでよ。」
「ごめんごめん。食べようか。」
「うん!」
撫子はテクテクと歩いていた。




