第五話 第十八部 心地よい、声が聞こえる。
「いってきます。」
次の日、俺は撫子と一緒に登校した。今日はあまり会話が少ない。それもそのはず。テスト一週間と迫ってきているからだ。俺たちはずっとノートや単語帳を見て勉強していた。
「If a recent survey is to be believed,……」
撫子は長文を読んで解いている。それにしても発音が良いな。俺も聞いているうちに心地よくなってきた。そして頭の中にドンドン記録されていくかのように入ってきた。
「やっているところすまねえな、撫子。」
「ん? どうしたの拓斗。」
撫子はパタンとプリントを閉じてこっちを見た。俺はちょっと照れ気味に頭をかきながら言った。
「いや、あのさ…。撫子の英語読んでいるところ聞くと、とても心地よいというか…。それに覚えられそうでさ。」
「ありがと…ちょっと私も照れちゃうよ。」
撫子は照れていたが、すぐにプリントを開いて続きを読み始めた。河川敷に咲いている花がサラサラと音を立てる。それと一緒に撫子の声が聞こえる。まるで読み聞かせをやっているかのような。そんなリラックスできる気持ちが現れた。
「I am heartily in favor of high school class reunions,…」
撫子が読み終えると俺も読み始めた。なかなかぎこちない感じだったが、これで撫子が癒されてくれたら嬉しい。俺は少々読んだ後、撫子を見ると苦笑いをしていた。だめだったのだろうか。
「すごく低くてカッコよかったんだけど…渋いというか。朝には合わなかったね。」
「うわああああああああああ!!!」
俺はショックで頭を抱えてしまった。嬉しいことも言ってくれたけど、ショックの方がでかかった。でも笑い飛ばして、ふたたび読み始めた。




