第一話 第六部 本の話しで、大盛り上がり
「え? いいのか。」
そういって俺は渡してくれた本を手に取った。
「すっごく面白かったよ! ネタバレだからあまり多くはいえないけどあの女の子の秘密がばれちゃうってところからが面白いよ!」
「おお、そんな出来事があるのか! それは楽しみだな。」
俺達はなぜかと本の内容のことで大盛り上がりした。女子とここまで盛り上がって話したのはいつぶりだろうか。いや、したことないのじゃないか? 俺は。
「そうそう、その子がね!」
キーンコーンカーンコーン
「あっ、チャイム。」
六道はちょっと残念そうに言った。休み時間残り五分というチャイムだ。この様子を他の人たちに見られたら、どう説明のしようもなくなってしまう。俺と六道は急いで自分の席に移動していった。他の生徒たちがゾロゾロと入ってくる。ほかの人たちは俺と六道が一人で食べていたのだと思っていた。何故なら俺と六道にはいままで話すような接点なんてなかった。知り合いでもなければ友達のつながりでもない。彼女はよく一人でいるからだ。ちょっと可哀想にも思えるが彼女がほかの生徒のところによらず、一人で本を読み、誰かが近づけないかのようなオーラを出しているからだ。そんな俺と六道が教室内でお話しをするわけがない。そう生徒たちは思っているだろう。
キーンコーンカーンコーン
最後の授業終了のチャイムが鳴ると生徒たちは大きくため息をついた。しかし、俺と六道以外の生徒たちはこれから部活だ。でもすぐには帰れない。皆が部活に行ってくれなければ俺達はばれずに帰ることができないからだ。六道を見ると、ニコニコしていた。学校であんな笑顔はなかなか見せてくれない。俺は期待に胸を膨らませていた。