第五話 第十一部 もう一つの、運命の出会い。
そしてついに昼食の時間になった。
「それじゃあ生田くん。先に目黒さんを呼んでくるね。」
「あ、あぁ。」
「緊張するなよ。」
生田はてんぱっていた。緊張で足がプルプルしている。そこまで行かなくても…といっても俺も同じ状況があったようなことを思い出して、あの時の自分を見ているかのような気分になった。
「拓斗、先に席とっておいてくれるかな?」
「了解。生田と一緒に探してるよ。」
そういって俺と生田で席を探しにいった。
「な、なあ。」
「なんだよ。」
「俺、上手くいくかな。」
「どうだか。その緊張した喋り方じゃ絶対だめだな。」
「うるせっ! いつもの自分じゃないのってのはわかってるんだ。」
「なら深呼吸しな。」
「ひっひっふー、ひっひっふー。」
まさかのパターンに俺は口を手で押さえて笑いをこらえた。おいおい、お前は妊婦じゃないんだからそれはないだろ。
「お前…それはないだろ…。ぷぷっ。」
「あー、無かったことにしてくれ。」
「録音して撫子と目黒に聞かせればよかった。」
「やめてくれ!」
そういいながらも俺と生田は食堂についた。比較的今日は空いていた。すぐに俺たちは席を確保した。
「そういえば生田、お前弁当は?」
「ここ最近購買ばっかりだからな。今日は食堂だよ。」
「よかった。じゃあ今日は皆食堂の飯を食べるってことか。」
「お待たせ!」
撫子の声が聞こえた。撫子を見ると隣に目黒がいた。
「……ぁ。」
まず最初に目黒が声を出した。
「ど、どうも。生田学です。」
「め、目黒美幸です。宜しくお願いします。」
俺はその時、何か二人に赤い糸みたいなのが見えた。その瞬間、撫子は俺の顔をみてニコッと返事をした。どうやら…上手くいきそうだ。
「(やっぱり近くで見るといっそうかわいい。)」
「(何この胸にキュンキュンと来るもの…もしかして…恋!?)」
二人の心は、一瞬で揺らいでいた。




