第五話 第八部 目玉焼きと引き換えに、妹を描く。
俺がリビングに行くと撫子は絵を描いていた。その真正面には千春が食事をしている。描いてもらっているのだろうか。
「あっ、お兄ちゃん!」
千春が俺の方を向いた。口の横にはご飯粒がついている。
「口にご飯粒ついてるぞ。それだと絵にも描かれちまうぞ。」
「あっ! ごめんごめん。」
そういって俺は撫子の近くによった。
「悪いな、こんな時間に絵描かせてしまって。」
「大丈夫だよ。あっ、目玉焼き一個貰っちゃった。おいしかったよ。」
「じゃあそれと引き換えだな。」
するとお母さんが俺の座るテーブルに目玉焼きを置いた。
「いつも二個だけれども今日は一個ね。」
「マジっ!?」
そういって笑いながら食事を始めた。
「ねえ拓斗。」
「なんだ。」
撫子が絵を描きながら俺に聞いてきた。
「良い方法があるのだけど、弁当もって今日食堂に行かない?」
「それいいな! 生田と目黒が話すチャンスを作るにはベストだな。」
「あら、生田くんと目黒ちゃん、付き合うことになったの?」
母が会話に入ってきた。母も生田が俺と遊んでいることも知っているし、目黒の母とうちの母が知り合いだから目黒のことも良く知っている。
「いえ、これからです。」
「生田がさ、あいつのこと本気で好きって言ってたからさ。どうやって接点を作ろうと。」
「そうなの、しっかりサポートしてあげなさいよ。」
「はいっ。」
俺と撫子は一緒に返事をした。




