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第四話 第十一部 これが本当の、天才なんだって。
「楽しかった!」
撫子はふわーと歩きながら笑顔を見せていた。なでたい抱きしめたい。だけど今はそんなタイミングではない。次は時間が丁度よくなったので動物のふれあいコーナーに向かった。今日は羊とウサギのふれあいだ。
「私、ふれあいもいいなって思ったのだけど、どうしてもやりたいことがあるの。いいかな?」
「あぁ、かまわないよ。」
そういうと撫子はふれあい広場に入った。一体やることってなんだろう。
「あははっ、かわいい!」
そういって撫子はウサギと羊をなでていた。そして少し時間がたつと子供たちもたくさんやってきた。そうなると撫子は後ろに下がってベンチに座った。
「どうしたんだ。」
「あれを描きたいなって思って。」
「あれって?」
すると撫子はタブレットを取り出して絵を描くための機能を開いた。
ササササッ
なんて早くて手際が良い描き方なのだろう。俺たちが考えて、見て描くよりも、撫子は対象物をずっと見続けて描いている。タブレットの方を全く見向きもしない。しかししっかり描けている。さらにはあの動く対象物をまるで動いているかのように描いている。子供たちの笑顔も精細に描写している。これが撫子。いや、無光闇無なのだろう。俺は改めて無光闇無のすごさを知った。




