第四話 第十部 自然と撫子を、楽しませていた。
ギャギャギャギャ
「飛ぶ! 飛んじゃうから!」
撫子が叫ぶがお構いなしにドリフトを続けていく。そして立ち上がりで体制を戻す。
「な、何をやったの?」
撫子が震え声になって俺に問いかけてきた。
「今のはドリフトって言う滑らせた走り方だよ。もう一回やろっか。」
「えっええええ!?」
次のコーナーが迫ってくる。俺はサイドブレーキーを引き、わざと姿勢を崩す。
「う、うわあああああ!」
撫子が俺の体をものすごく強く抱きしめて耐えている。俺は顔がニヤついたが、頭の中ではコーナーを抜けることで精一杯だった。ふたたびコーナーを曲がりきると撫子は俺の方を向いてニコニコとした。
「楽しいね! 私、なれちゃった!」
撫子は楽しんでいるようだ。なんか悔しいというか嬉しいというか。でも乗ったのなら最後まで楽しんでもらいたい。俺は全力で攻めることに決めた。
「撫子、俺の体をしっかり抱きしめていて。今度は早くコーナーを抜けていく走り方をするから。」
「うん、気をつけてね。」
俺は右手でしっかりとハンドルを持ち、左手でギアの部分に手を添えた。下りがあり、上りがあり。ゆるいコーナーもあればきついコーナーでさえある。そんな中、撫子は楽しんでくれた。最初にびっくりさせてやろうという気持ちはもうどっかにすっ飛んでいってしまった。
撫子はものすごく楽しんでくれたが、一箇所だけ本気で怖がっていた場所があった。ヘアピンを抜けたあとにまたヘアピンのコーナーだった。俺がそのままのスピードで慣性を利用し、カーブを曲がった。そのときの勢いがあまりにも大きく体が思いっきり引っ張られたときは撫子は目を丸くして声を出せないほど怖がっていた。あれは本当に申し訳ないことをしたと思う。




