第四話 第九部 怖がらせた撫子には、ドリフトを。
撫子はニコニコとしながら俺の手を握ってついてきた。これからスリル満点の乗り物に乗るというのに。
「どうしたの? ニヤニヤして。」
「いや、とくに。」
しかし撫子は俺の顔をみてフフッと笑うと腕をガッツリと掴んできた。
「もしかしてジェットコースター楽しかった? もう一回乗る?」
「勘弁してください。」
撫子はまた笑っていた。この笑顔はかわいいんだけど、はしゃぐと手がつけられなくところがまた…。これが撫子だと思うとすごくかわいい。ほかの奴ならちょっと俺は引いてしまいそうだが。
少し歩くとゴーカートについた。だけどここはただのゴーカートというわけではない。俺が選んだのには理由がある。
「すみません。今日はタイムの上級コースやっています?」
「はい、やっています。」
俺が確認すると撫子の元に戻って聞いてみた。
「これからゴーカート乗るのだけど、一緒に乗ろうか。」
「うん! 楽しみだよっ!」
すごくニコニコしている。可愛いなあ。でもこれからは恐怖が待ち受けていることにもかかわらず。
「二人の利用のレースマシンでお願いします。」
「わかりました。ではライセンス証明書を。」
俺は財布の中からカートのライセンスを取り出して見せた。
「問題ありません。どうぞ。」
そういって俺は撫子のバッグと一緒にロッカーの中に荷物をしまった。
「頑張ってね。」
そういって撫子は俺のほっぺをツンツンした。ちょっと照れるけどようやくスタートだ。
ヴォオオオン ボボボボボ
「うわっ。あれ? 拓斗。ゴーカートってこんな速さ出たっけ?」
「ここの特別車両はね。」
「そんな速さじゃカーブ曲がれないよ!」
カーブがドンドン近づいてくる。
「い、いやああああああ! とめてええええ!」
俺はすかさずサイドブレーキを利かせ、ゴーカートの体制をやや斜めに崩した。
「じ、事故っちゃううううううううう!!」
そのまま俺はアクセルとハンドリングの調整を行いながら綺麗にカーブを曲がっていく。




