第四話 第三部 乗馬の撫子と、靡くその風と。
「ねえねえ、あれに乗って良いかな?」
撫子が俺の服をチョンチョンと引っ張って指を指す。それは乗馬だった。
「かまわないよ。」
「やった! じゃあ一緒に乗ろう!」
乗馬なんて本当に久々だ。家族で出かけたとき以来だろうか…そう考えると…三年も前になるのか。たしか従兄弟と乗っていたときだっけ。そして今度は彼女と乗馬。なんて幸せなんだ。俺たちは料金を払って誘導員の指示に従って馬の前まで行った。
「私はこの芦毛の子に乗るんだ。」
「改めてみるとでけぇな。サラブレットって。」
俺たちが登ろうとすると馬は乗るのを手伝ってくれるかのように体制を変えてくれた。なんて利口な馬なのだろう。
「あははっ、この子かわいい! 鬣がさらさらしている。」
撫子は無邪気に笑っている。こっちを向くと馬の鬣と撫子の髪が綺麗に靡く。なんて綺麗なんだろう。
「ヒヒーン」
歓迎したかのように馬が鳴き声を上げるとパカパカと歩き始めた。手綱をしっかり掴んでいるが、なかなかバランスが難しい。一歩、二歩と踏み出すたびに体が上下や前後に動く。これは足で支えなければいけないのか。撫子をみるとこれまた苦戦している。でも係の人になにやらアドバイスを聞いているらしく、聞き終えると綺麗な姿勢で乗り始めた。なんて飲み込みが早いんだ。
……
「可愛かったー!」
撫子は俺と馬と一緒に写真を取ってもらい、その写真を大事にしまっていた。そのまま撫子はルンルンと気分よさそうに歩いていった。




