第三話 第十六部 キスしようとしたけど、拒まれた。
「拓斗ってすごいね。」
俺と撫子が帰っていると突然撫子が声をかけてきた。目はキラキラとしてる。
「そうかな。今回はたまたま運が良かっただけだよ。」
「そうなの?」
撫子は首をかしげる。
「俺はアイツのことを知っていたから言えたんだ。もし何にも知らなかったらこんなに上手くいかなかったと思うよ。そしたら撫子にもっと迷惑かけてたかもしれないし。」
「ううん、大丈夫だよ。」
撫子はニコニコと返事を返してくれる。その笑顔が俺の力になるわ。
「撫子も生長したよね。」
「え?」
「だってさ、撫子最近落ち込んでもすぐに立ち直ってくれるからさ。すごいことだよ。」
「いや…これは…。」
撫子がまた声を小さくしている。これはいけないこと言ったかな。
「拓斗が…いるからっ。大丈夫なのっ!」
恥ずかしい気持ちを必死に抑えながら撫子は言う。胸キュンだよこの表情は。抱きしめたい!
だきっ
「きゃっ。えへへ、嬉しいな。」
「俺もだよ。」
そういうと俺たちは顔を見合わせる。……え? これってチャンスじゃないのか? もしかして…キスできる状況なのか? 周りには誰もいないし…。俺は自然と撫子に顔を近づけていく。
「だっ…だめっ!」
撫子は俺を軽く突き飛ばした。
「撫子…。」
「は、恥ずかしいのっ! せめて! …せめて…。」
撫子は一呼吸ためて言った。
「絵が…書き終わったら! その…いいよっ。」
そういって撫子は俺にサヨナラも言わずに去っていった。恥ずかしいか、やっぱり。それと…さっきの言葉は絶対忘れないぞおおおおおおおおおおおおお!!!




