第三話 第十五部 上手く行き過ぎな上、ノリがおかしい。
空振り三振。勝負は圧倒的に俺が勝った。負けた磯見はその場でひざをがっくりと落とした。
「また…負けた。」
そういったあと磯見は涙を流した。やっぱり勝負というものは負けると泣いてしまうものだろう。磯見は顔を上げてこっち見て、口を開いた。
「やっぱ……てめぇはすげえや。その才能が俺には欲しいよ。」
心を開いてくれた。なんか簡単そうに見えたけれど、人によっては難しいことだと思う。もし俺が野球がドヘタクソだったら心を開いてくれなかったかもしれない。そういうのは運も入る。でも上手くいってよかった。でもここからが本番だ。
「そうか……。でも、お前にしか出来ないことってまだあるだろ。」
「俺にしか出来ないこと?」
俺は親指を藤浪の方にむけた。磯見は藤浪をみると藤浪は泣いていた。
「お前は藤浪のことが好きだったんだろ。でも俺の方が好きだという気持ちの方が強かったからあきらめていたんだろ? でも恋愛なんてそんな簡単にあきらめちゃいけないだろ。俺が言えることじゃないが。本当にスキだったらそいつの本当の姿をおしえてやれよ。見せてやれよ。そいつの気持ちが自分に傾くように努力してみろ。その結果にほら。」
何かことが良いように話が進んでいく。正直ここまで上手くいくとは思っていなかった。もう少し粘っていて、俺に突っかかってくるやつかと思っていたが、実際そうではなかった。こいつも本心は良い奴だ。
磯見は歩いて藤浪のところに向かう。
「このざまさ。あっけなく負けちまったよ。」
「うん…でも、すごく真剣な姿、かっこよかったよ。」
「そ、そうかな。」
「これからは…私の奴隷でなく、ずっとそばにいなさい。」
「分かったよ。もう泣くな。」
なんだよこれ。なんでこんな早く付き合えるんだよ。って俺たちも同じか。俺は撫子を見ると、「私たちも同じだね。」というジェスチャーを送っていた。
「きーーーー羨ましいぜ!」
「なんで俺たちには彼女できないんだ!!!」
相変わらず男子は元気良いな。
「おいてめぇ、彼女作らせるように仕向けたな! 今度は俺にもそうしてくれ!!!」
おいおい、生田まで。そんな姿を女性の前で言うことねえだろ。女子、引くぞ。




