第三話 第十四部 アイツの好きな奴は、他にいる。
放課後
「おい白羽根、なんでアイツなんかに勝負挑んだんだよ。」
「だってこれは撫子のこととは関係ないだろ。アイツは俺との因縁で戦いたいといってたんだからな。でも俺から思えば違うな。これは撫子を守るためとも思ってるから。」
「なんだよそれ。」
「私を…守るため…?」
まだ撫子は元気がない。さっきので疲れてしまったのだろうか。もしくはまた心が辛くなってしまったのだろうか。どっちにしても六道をこれ以上傷つけるわけにはいかない。だから俺にはやらなきゃいけない理由がある。
「これで戦ったらもう因縁なんてなくなるだろ。そしたらあいつだって気づくはずさ。」
「何が?」
「磯見は、本当は俺を倒して藤浪と付き合いたいんだ。」
「はぁ!?」
「まっ、対決を見ておけばよいさ。」
「お前まさか、わざと負ける気じゃ。」
「んなわけないだろ。やるからには本気さ。それも力でねじ伏せるぐらいにな。」
今の俺ならまだ体はなまっていない。むしろよく運動は一人でしている。ちょっとぐらいブランクがあろうがなかろうがかまわない。打たれはしない。
「来たか。」
磯見は素振りをしていて待っていた。藤浪たちも見ている。これこそ絶好の条件じゃないか。アイツに教えてやらなきゃな。
「多少の準備はしてきたからもうバッターボックスに入れよ。」
「ふん、ぶっ飛ばしてやる。」
「やれるならな。それとな、お前は撫子のことを好きになれない。彼氏にはなれねぇ。」
「はぁ?」
「撫子が俺のこと好きなのはもちろんの理由だが、もう一つある。お前には心に迷いがあるはずだ。」
「そんなもんはねえんだよ!」
「それを今から証明してやるよ。ほら、なげるぞ。」
俺は大きく振りかぶるその間に走って俺たちの状況を見に来たクラスメイトがたくさんきた。撫子は両手を握り合わせて祈るようにしている。撫子にもかっこいい姿を見せなければ。これは俺のアピールのためであってアイツのためでもあるんだ!
シュゴーーーーーーーーーーー
「ぐっ!」
ブシィ!
ガシャン!
初球空振り。しかもボールとバットは天と地の差ほどあった。
「ほれ、後二球だぞ。」
「いいから早く投げてこい!」
俺は言うとおりにすぐに振りかぶる。藤浪をチラッと見ると様子が変わっていた。もしかしてアイツもそうなんじゃないだろうか…。
シュゴーーーーーー
ブン!
「後一球だぜ。」
追い詰めた。しかし磯見は全くあきらめる表情をしていない。それならきっと思いも伝わるはず。あいつは本当は。
「磯見くん! 打って!!」
「!!」
シューーーー
ブン!!




