第三話 第十三部 恨みがあるなら、勝負しろ。
撫子が藤浪を追い詰めていく。俺もあんな表情の撫子見るのは初めてだ。しかしこの状況はいろいろとまずい。喧嘩になってはいけない。だから俺は撫子を止めなければ!
「撫子!」
俺は右手を掴んで止めた。撫子は反抗することなく、こっちを向いてくれた。
「もういいんだ。止めてあげて。」
「……うん。」
撫子は抱きしめはしなかったが、俺の制服に両手でしがみついてきた。よほど痛かっただろう、辛かっただろう。撫子はそのまま号泣してしまった。
「藤浪っ!」
後ろから磯見がやってきた。また厄介な奴か。
「どうした!」
「六道が…六道がっ…。」
すると磯見がこっちにやってきた。
「おい、六道をかせ。」
「誰が渡すか。」
一触即発の状態だ。俺は何があっても撫子には手を出させない。俺も手をださない。後ろには生田だっている。
「悪いが藤浪が撫子を囲んでいたんだからな。」
「あたりめぇだ。藤浪は正しいことをしたからな。」
「ああそうかい。お前はかわいそうな親に育てられたんだな。」
「んだと!」
「そうか、良い方法があった。」
俺はふと思いついた。この状況を打破することもできる、そして一番良い解決方法があった。
「二つあるんだが、お前、藤浪と付き合ったらどうだ? お前らの方がお似合いだと思うぜ。」
「バカ言うんじゃねえよ! ふざけるな! お前なんかに俺の悔しさがわかってたまるか!」
「そうか。だったらもう一つの方法だ。お前が言ってた野球で一打席勝負だ。俺が投げる。お前が俺の球を前に飛ばせたらお前の勝ちで良いよ。前といってもボテボテでも良い。ファールは無しでだ。」
「絶望を見ることになるぞ。そんな勝負挑んでおいて。野球を離れていたやつに勝てるわけがねえだろ。」
「悪いけどお前には打たれないよ。」
俺は撫子を守るために…守るために…。




