第三話 第十二部 藍い目には、何が見える。
その後、昼休みになって撫子と弁当を食べ終わった後、教室に先生が入ってきた。
「美術係の六道さん、次の授業のお手伝いをしてもらいたいから一緒に来てくれるかしら。」
「あ、はい!」
先生が撫子のことを呼んだ。
「ちょっとごめんね。」
そういうと撫子は先生と一緒についていった。そうか、撫子って美術係だったか。そういえばいつも一人で描いているのをみかけるけれど、俺たちは一度も撫子の作品をみたことがない。一体どんな感じなのだろう。たしか今日はしあげの部分だったはず。あとで見てみよう。
…………
「ありがとう。もう教室にもどっていいわよ。」
「はい。失礼しました。」
撫子は美術室をを出て廊下を歩いていた。すると目の前に藤浪と5人ほどの女子がやってきて撫子をかこんだ。
「六道、なんであなたは拓斗と付き合ったの?」
ピリピリとした雰囲気が漂う。
「私は拓斗が運命の人だと感じたから。」
「運命の人ねぇ…ふざけないでよ!!!」
突然藤浪が血相を変えて撫子をにらみつけた。
「拓斗が六道のことを好きなわけないじゃない!」
「ち、違うよ!」
「何が違うのよ! 六道は拓斗の何がわかるっていうの!」
「わかるよ! 私は拓斗の全てがわかる! 私を守ってくれて、やさしくて。そして何よりも一途で。私は拓斗のことを見ていたけれど、始めてあったときと一緒に話すようになってからの顔つきが変わったもの! あなたには拓斗の見た目、出来るか出来ないかの部分だけしかみてないのよ! 人に格を付けるようなことをしないで!」
「………っ!」
パシン!!
藤浪は撫子の頬を叩いた。思い切り、自分の怒りを全てぶつけるように。怒りで藤浪の手は震えていた。
「ふざけないで! あなたみたいな何も役に立たない人間は要らないのよ!」
………
ガラッ
突然生田の友達が教室にものすごい勢いで入ってきた。
「大変だ拓斗! 六道が、藤浪たちに囲まれている!」
え? なんだって。そんなバカな。
「教室に磯見もいねぇ、やべぇぞいそげ!!」
生田が叫んで立ち上がる。俺と生田は生田の友達が教えてくれる道を追いかけた。おい、何が起こってるんだよ。一体撫子が何をしたっていうんだ。何もしていないだろ。ふざけるなっ!
「撫子っ!」
そこには頬が赤くなった撫子と藤浪が真正面にいた。藤浪の腕が振りぬかれていた。おい、もしかして藤浪のやろう叩いたのか…。
「お前…。」
怒りが爆発しそうになった。俺の右手はプルプルと握り締めている。今にも殴りそうな気持ちだ。いや、殴りたい。そうでなければおさまらない。俺が藤浪のところに行こうとすると生田が止める。
「おい、まて。アレをみろ。」
俺は撫子をみた。徐々に顔をあげていくと、撫子は藍い目をして藤浪をにらみつけていた。その瞳には涙も混じっていた。怒りと悲しみが混じった目だ。
「な、何よその目。あ、青い!?」
藤浪が後ろに引いていく。恐怖で怯えて下がっているようだ。撫子は眼力だけで藤浪を追い詰めていく。周りの女子たちは変な顔をしている。
「どうしたんですか!? 六道はいつもの茶色い目ですよ!」
「そ、そんなことは…ありえない…。」
藤浪は舌が回っていない。ついには声にだすのが怖くなっているみたいだ。
「げ、幻覚ですよ! 青い目なわけないじゃないですか!」
「あ、青いのよ!」
どうやら周りの女子たちには見えていないみたいだ。生田の友達たちは藤浪が何を言っているのかという表情をしていたが、生田だけは違った。
「おい、これがお前の言ってた目が青いってことか?」
「あぁ…。でも俺にはいつも目は藍くみえているんだ。あいつの目には感情が表れているかのようなんだ。」
「そ、そのとおりだ。俺も怖くなってきた。」
撫子が藤浪どんどんと壁側に追い詰めていく。
「こ、こな…。こないでぇえええ!!!」
ついには藤浪がしりもちをついてしまった。




