第三話 第十部 苗字でなく、名前で呼んで。
「それじゃあいってきます。」
「気をつけてね。六道ちゃんをしっかり守るのよ。」
「分かってるって。」
そういって俺は玄関をでて六道と一緒に歩いていった。
「ねえ白羽根くん。」
「何?」
六道がこっちをまじまじと見てきた。
「学校の出来事とかってお母さんに話しているの?」
「何も言っていないよ。」
六道はそれを聞くとホッとした様子でため息をついた。
「迷惑かけてないかな?」
「大丈夫だよ。」
そう話すと駅を超えるまで俺たちは終始無言になった。駅を超えたところで六道が頬を赤くそめてこっちをみて言った。
「ね、ねえ…。」
「何?」
「二つ…お願いがあるんだけど…。」
六道がもじもじとしている。うわなにこれかわいい。でもここはしっかり聞いてあげないと。
「何? 言ってみて。」
「あのねっ、苗字と名前を使い分けてると名前で呼び忘れちゃうこともあるから…。ほらっ、昨日も途中からいつものように苗字で呼んでたよね。」
「ああ、たしかに。」
そういわれてみればそうだ。お互いに気づいてなかったようだ。まあ昨日はあんなこともあったし、考える暇なんて無かったよな。
「だから…、これからはずっとどんなときでも名前で呼んでくれる?」
六道は上目遣いで俺を見つめてくる。身長差があるからこの上から見下ろす六道はすごく可愛いくみえる。というかまず答えてあげなきゃ。
「もちろん良いさ、撫子。」
「うん…ありがとう、拓斗。」
撫子はさらにテレながら俺の方に近寄ってきた。そして背伸びをして俺の耳元に寄ってきた。
「手、つないで欲しいな。」
「…っ。」
うわっ、突然何言うかと思ったら。すげえ嬉しい。しかもかわいい。可愛すぎるよ。照れてる撫子がものすごくかわいい。
ギュッ
俺は優しく手を握ってあげた。とてもやわらかく、スベスベした肌触りだ。
「じゃあ…いこうか。」
「…うん。」
俺と撫子は手をつないだまま学校にむかった。なんてリア充なんだ俺たちは。




