第三話 第九部 妹は、六道を知っていた。
「お邪魔します。」
六道が礼儀正しくベランダに入ってくる。今日の朝ごはんは卵焼きと味噌汁、おかかのふりかけご飯だ。
「六道ちゃんだっけ? 椅子空いてるからすわりなさい。朝ごはん食べた?」
「ありがとうございます。朝は少しは食べました。」
「そしたらそこのおかずは自由に取っていいからね。拓斗、六道ちゃんに箸を出してあげなさい。」
「わかったよ。」
何か家にいるとすごく調子が狂う。六道と一緒にご飯が食べれるのは嬉しいけれど、母がいるのはちょっとイヤかもしれない。
「それにしてもこんな息子の何処に好きになったのかしらね。」
「えっと…すごく優しいところです。」
六道が恥ずかしがりながらも答えてくれた。ちょっと俺も照れる。
「拓斗、しっかり六道のことを守ってあげてよね。」
「……ああ。」
昨日のこともあるからな。守ってやらなければ。
ドドドド
階段を下りる音がする。これってもしや…。
「お母さん! 昨日届いた学生スカートは?」
あ、妹が来た。しかもパジャマのままじゃないか。
「ああ、そこにかかってるわよ。」
「ありがとう。」
そして妹は俺の方を向くと目を丸くした。
「お兄ちゃん、もしかして隣にいる女性って…。」
「そうよ、拓斗の彼女さんよ。挨拶しなさい。」
妹はそれを聞くとさらに驚いた顔をした。そりゃそうだろ。誰かも分からない女性が突然朝に家にいて、しかも彼女と聞けば。
「む…無光闇無さん!!!!」
え? 今なんていったこいつ。
「…え?」
六道も驚いた表情だ。
「無光闇無さんですよね。私大ファンなんです! 描いたマンガも全部持ってます!!」
「あ…ありがとう。なんか恥ずかしいね。家族にファンがいると。」
六道はこういうことに関してはすごく嬉しそうにしている。そういえば妹ってオタクだったっけ? マンガは好きなのは知っていたが。そういえば去年でかいイベントに友達と一緒に行ったという記憶がある。もしかしてその時にでも会ったのだろう。
「あ、でも本名で呼ばないとっ。そうだっ、私は白羽根千春です。」
「私は六道撫子よ。よろしくね。」
よかった、とりあえず何も喧嘩とか無くてよかった。むしろ接点があってよかった。




