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か細い藍のバラ  作者: レザレナ
第三話 付き合うのは簡単ではない
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第三話 第三部 俺の怒りは、収まらない。

「たべようか。」

「うん。」

 俺と六道は弁当をあけた。周りは俺達を見つめてくる。分かっていたことだけれども。

「えっ…まじ?」

「いつから付き合い始めたのあいつら?」

 やっぱり感づいてきたか。というかなんで一緒に食べるだけで付き合っているだろうと判断するのだろうか。

「おい、白羽根。」

生田が不気味な笑顔をみせて近づいてきた。嫌な気がする。俺は何を言われたって言い返してやる。

「お前ら、良いカップルになれよ。」

「へ?」

 思いもよらない言葉に俺は変な返答をしてしまった。

「羨ましいわ。とてもお似合いっぽいし。幸せになれよ。」

「お、おう。ありがとう。」

「なんだか恥ずかしいね。」

 六道と俺は一緒に照れてしまった。生田に釣られて他の男子たちも近寄ってきた。

「しかし羨ましいよな、まさかお前に先を越されるなんて。」

 生田に続いて他の男子も声をかける。

「くっそー! いつか俺だって!」

「リア充爆破しろ! でもよかったな。」

「ずるいぜ!」

 けっこう祝福の言葉が来る。六道も自然と笑顔になってきた。今度は女子がやって来た。

「六道。」

「なにっ?」

 六道が笑顔で返事したが、相手は顔をしかめていた。

「死ね。」

 一瞬で場が凍りついた。おい、なに言ってるんだよ。しかもよく見たら藤浪じゃねえか。

「あんたなんかが白羽根くんと付き合う資格なんてない! つりあうわけがない!」

 それに続いて同じグループの女子たちが文句を言う。

「そうよ! 白羽根君と付き合う人は藤浪さん以外にありえない!」

「あんたみたいな何のとりえも無い庶民は邪魔なのよ。」

 一方的に六道が攻め立てられている。いくらなんでも言葉の使い方がひどい。六道が下を向いて耐えている。六道が何か悪いことでもしたのかよ。

「ちょっと待てよ! 釣り合う釣り合わないなんて勝手に決めることじゃねえだろ!」

「そうだ! ただ見た目が可愛いとか思う自分素敵っこは黙ってろ!」

 生田たちが助太刀してくる。なんで喧嘩になるんだよ。なんで俺と六道が付き合っているだけで喧嘩になるんだよ。

「黙れ豚が!」

 豚!?

「あんたみたいな男子らは下僕以下の家畜の豚よ! 私が言ったとおりに動けば良いのよ!」

 どういうことだよ。全く意味の分からない発言してやがる。そして六道の隣に男が近寄ってくる。

「六道さん、こんな男子はほっといて私とお付き合いしましょう。」

「キャー、クラス一番のイケメン、磯見くんからの告白よ!」

「どうなの?」

 六道はプルプルと衰弱している子犬のようにうずくまっている。そんなんで答えられるわけないだろ。俺が六道に声をかけようとしたとき、目の前に手が見えた。

「さあ、白羽根君はこっちに…。」

 藤浪が俺の手を無理やり掴もうとしてきた。六道…俺はお前を…。

 パシン!!

 俺は藤浪の手を嫌々にはたいた。藤浪は目を丸くしている。そして徐々に怒りと悲しみのこもった涙目になっていった。

「私のこと…嫌いなの?」

「あぁ、大嫌いだ。あいにく俺にはすでに好きな人がいるんでな。」

「そん…な…。」

 藤浪は泣き崩れてしまった。グループの女子は藤浪を慰めるのと俺をにらみつけてくる。

「女子を泣かすなんて最低よ!」

「お前らだって人のこと言えるのか!? それに女だからって泣かしていけないという決まりはいつから作られたんだ!」

 怒りがこみあがる。六道を守るためにはこれしかない。

「おいてめぇ、藤浪様に何言っているんだ!」

 怒った磯見がやって来た。

「人の価値で好き嫌いを決めるやつなんてクズだ。」

「いまどきはそうなんだよ! 藤浪様はテニスで全国レベル、勉強の学年順位も一桁! こんな良い奴が六道に負けるわけねえだろ!」

「それはお前の勝手な意見だろ。つかお前の方が俺よりアイツと釣り合ってるんじゃないか? 野球上手いんだし。」

「ぐっ!」

 ガシッ

 磯見が俺の胸倉を掴む。俺は何も抵抗せずにしている。

「貴様、俺の屈辱をわかっていての発言か!? 俺はお前に一度も打てず、試合にも勝てずに中学を卒業。高校でリベンジしようと思っていたら野球部をやんないだ? 俺の怒りが収まると思っているのか!?」

「お前の勝手な都合で俺の人生を決めてるんじゃねえよ! それに話の趣旨が変わっているだろ! いい加減にしろ!」

 ガッ

 怒りが収まらないまま磯見が俺の胸倉を突き飛ばすように離した。

「じゃあ六道は藤浪より優れてるっていうのか? アイツより有名なのか? 何が好きになったんだよ!」

「ああそうさ! 俺は六道の全てが好きなんだ! 一人の女性としてみてるんだよ! それに藤浪よりは圧倒的に有名だ! 六道はな…。」

「もうやめて!!」

 六道の一声にまた静まり返る。六道は体全身をプルプルさせて大泣きしていた。今にも折れてしまいそうなバラのようだった。


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