第二話 第七部 不思議な感覚に、包み込まれる。
すこし歩くと目的の場所に到着した。時間も時間だからなのだろうか、空いている。俺と六道はガラスの中にある食べ物サンプルのクレープをみて選んだ。
「なにがいいかな?」
「たくさんあるから迷うよな。」
「私、メロンの入ったクレープが良いなあ。」
「メロンおいしそうだな。じゃあ俺はみかんとバナナのクレープにするよ。」
そういってカウンターで注文した。もちろん今回は二人でワリカン払いすることにした。俺の財布事情のことも考えて…。
すこし待つとクレープがやって来た。
「うわーおいしそう!」
「クリームがたくさんついているね。そして六道のメロンでかいな。」
「えへへ、良いでしょ。」
そういって俺と六道はクレープにかぶりついた。
「んー、おいしい! このメロンとクリームの相性良いね!」
「口の中でふわっとした食感と生地がいいなあ。」
そんな話をしながらゆっくりと食べて言った。
俺と六道は食べ終えた後、いろいろな店をめぐっていった。ほしいものがあまり無かったのと、高すぎなものが多かったので見るだけにした。もともと今日大きな買い物をしたから財布の中身が…。そしてもう少しで帰ろうとしたとき、ある場所を見つけた六道が声をかけてきた。
「ちょっと…よっていい?」
六道が指をさした場所は小さな絵の展示会場だった。
「いいよ。」
俺が答えると六道はゆっくりと歩いていった。やっぱり絵はすきなのだろうか。
中に入ってそれぞれの絵を見ていくと「黒と白」「働く小人」「花」などいろいろな題名と作者の作品が並んでいた。俺にはどれが上手くて下手なのかは分からないけどどれも綺麗な絵だった。その中でもひときわ目立って美しい絵があった。見ている人も多くいた。その絵は水中を想像して描いた絵なのであるかのような、あるいは森であろうか、大地であろうか、その中に人間が一人、ポツンとたたずんでいた。ほかの人とは明らかに違う。素人の俺にでも分かるほどだ。何か不思議な感じがする。これが天才なのだろうか。題名は…。
「自由、 」
不思議な題名だった。「自由」の後に「、」があってその後が空白。何が入るのだろうか。もしかしてと思って作者を見た。
「無光闇無」
やっぱり六道の作品だった。アイツには誰にもない才能がある。この才能が悲しみを生み出すのであろうか…。
「帰ろう。」
六道が耳元でつぶやく。そして足早に展示会場から去っていった。俺は六道を追いかけるように歩いた。
店を出て大通りに出ると、六道は俺の方を見た。六道の目には涙を浮かばせていた。




