第一話 第一部 好きな女性
「白羽根ってこの学校で好きな人はいないのか。」
学校が終わって帰ろうとした俺はクラスの男子たちに止められた。
「いや、とくに無いよ。」
「お前、青春してないなあ。」
クラスの男子たちはあきれた顔でため息をついた。
「お前にだって、ドキッってくるときはあるだろ。」
「まだないな。」
「なんだよそれ。」
俺は淡々と答える。本当にいないのだからこれしか返答のしようがない。
「俺は生徒会長の姫宮先輩かな。」
「おっ、レベル高いところいくじゃねえか。俺はクラスの箕島かな。」
「お前はスポーツやってる奴好きだよなあ。俺は木島だな。あのメガネと顔はぴったりだぜ。」
クラスの男子たちはどんどん女性のことで語っている。好きなのは分かるけれど、それは本人に直接伝えないと。と思った俺はどこか遠い目をしていた。
「おーっす、ちょいと荷物わすれて。何語っているんだ?」
サッカーのユニフォームを来た悪友が入ってきた。
「お、生田か。ちょうどこの学校で誰が好きかって話ししてたんだ。」
「俺か? 俺はだな…担任の長谷部だぜ! キリッ」
「うおおおお、マジかお前!」
「おい白羽根、お前も見習えよ。」
見習えといわれてもさすがに先生に対して恋愛感情は普通持てるものじゃないだろう。
「生田、こいつ学校で好きな奴がいないんだってよ。」
「うわー。もてる要素あるのになにこの心の空っぽなやつは。」
「失礼だぞ。」
俺は皆に指を向けられイヤな顔をしてきた。
「何が失礼だ。身長高いし運動、勉強も出来て。そんな奴がもてないわけがない。女も絶対気にしてるやついるだろうし。お前もったいねえぞ。」
生田は俺にうらやましそうな目で問い詰めてきた。
「でも白羽根って何処の部活にも所属してないよな。それがネックでもあるよなあ。」
「あと近寄りにくいオーラだしまくりだし。こええよ。」
何か俺、攻められている気がする。いや、気のせいじゃない。完全にこれは敵対視されている。
「もったいねえよなあ。まあお前の考えがあるならそれでいいけど。それじゃあ俺は部活に戻るわ。」
そういって生田は教室から出て行った。
「それじゃあ俺も帰るわ。」
俺はバックをもって教室のドアを開けた。
「良い青春しろよ。」
クラスの男子からの挨拶だ。最近になっていつもこれだ。
「青春かあ。」
俺は帰宅経路を歩きながら考えた。たしかに俺はいままで恋愛なんてしたことない。女性にあまり話しかけられたりもしない。自分でもドキっと来たことはあまりない。そんな出来事があるのだろうか、いや、ありえない。俺は手のひらを見つめながら歩いた。
「あっ。」
ふと思いついた。今日は欲しかった漫画の最新刊発売日だった。結構人気だから早く行かないと売り切れてしまうかもしれない。俺は早歩きで駅前の本屋に向かった。
「いらっしゃいませー。」
本屋についた。ここはアニメ系専門の本屋だ。たしかここに…合った。
パサッ
「あっ。」
俺が取ろうとした本は反対側にいた人にとられてしまった。しかも最後の一冊だ。
「あ。」
俺と相手の人はおもわず声を上げて見合わせた。よく見たら同じ学校の制服、しかもスカーフの色をみると同じ学年の女子だった。顔を見ると…。
「……っ!?/////」
同じクラスの六道撫子が立っていた。




