第一話 第十四部 勇気を出して、言ってみた。
放課後、俺は六道以外の皆が教室から出るまで教室に残っていた。この時間が短いようで長く感じた。どんな返事が来るのだろう。どんな顔をするのだろう。そして悲しんでいないだろか。緊張で立ち上がることすら出来ない。いろいろと覚悟はしているし六道がどんな返事をしたとしても、俺は六道のことを好きでいるだろう。
俺には六道しか好きになれない。
そう思っていた。
十分たつと教室には俺と六道だけになった。俺はこの十分が三十分かのように感じた。六道は立ち上がって、
「一緒に帰ろう。その時にいろいろと話そう。」
と俺を悲しげな声で呼んだ。まだ朝の出来事を引きずっているのだろうか。俺は恐るおそる六道についていった。
「白羽根くんってさ、私のことを調べて怖いと思った?」
「えっ?」
歩いているとふと六道が口を開いた。それは俺に強く問いかけるように放った言葉だった。俺は答える。
「いや、怖くないよ。逆に六道ってすごいなって思ったよ。」
「それじゃあ…私のことは一人の女性として見ている? それとも今はすごい絵師だと思ってみている。」
「そりゃあ一人の女性としてでしょ。すごい絵師だろうが、何を言われようが六道は六道だよ。」
六道は驚いた表情をした。今なら六道に聞いて貰えるチャンスだ。今、今言わなければ!
「俺さ、守ってやるって言ってたよな。」
「う、うん。」
「つまりさ…。」
俺はこの先の言葉に詰まってしまった。いざ口に出そうとするとこんなにも難しいだなんて。でも言わなければ。
「好きなんだ。」




