第一話 第十一部 六道が泣き、俺も泣く。
「……また眠れなかった。」
今日も目覚めは悪かった。六道のことを考えていて頭がいっぱいだった。結局あの後はメールを返信していない。六道は怒っているだろうか。それとも悲しんでいるのだろうか…。
食が進まない。喉に通らない。六道のことを考えているからだろうか。なんか…俺の心が泣いているようだ。
「あれ? あまり食べないね。胃でも悪いの?」
お母さんが声をかけてくれる。でも理由なんていえない。気持ちが原因なんだとおもうけれど、それが胃にまで来ているのだろうか。俺はパンとサラダを少し食べただけで家を後にした。
ゲッソリ
うげー、なんて体調の悪さだ。目の前がクラクラする。今日俺、死ぬんじゃねえのか。足取りもあまりよくないし、視界がいつもと全くちがう。こんなんで学校行って大丈夫なのだろうか。
「お、おはよう。」
そういって後ろから弱々しい声が聞こえてきた。振り向くとそこには悲しそうな顔をした六道がいた。
「おはよう…。」
「大丈夫?」
「あぁ、気にしないで。」
すると六道は目に涙を浮かべながら言った。
「私の…せいだよね、眠れなかったのって。」
「え?」
「だって、私があんなメールを送らなければ白羽根君に苦しい思いをさせないですんだのに。」
そういって六道はポロポロと涙をこぼしていた。その目には藍いバラが見えたが、それは前に見た様子とはまったく別の苦しみにあふれた様子だった。そうか、彼女はいろいろな辛いことを背負って生きている。本当は嬉しいことなんだろうけど、期待というプレッシャーが重くのしかかって。それが原因で彼女の心が…。
「っ……。」
俺も涙が出てきた。何故だろう、彼女の気持ちを知ってしまうとこのまま放っておくわけにはいかなくなってしまう。守ってやりたい。そんな気持ちとともに涙も出てくる。俺の好きになった人なんだ。彼女のことを守ってやらなければ。俺は勇気を振り絞って口をあけた。
「六道…俺が守ってやろうか?」




