第七話 第十九部 姉妹のような、二人。
「どうだ…少し落ち着いたか?」
「………拓斗っ!」
撫子は俺に抱きついてきた。力強く、だけどすぐに崩れてしまいそうだった。俺は撫子が傷つかないように優しく抱きしめた。包みこむように…。
「撫子…私たちもいるからね。いつでも守るから。」
「美幸……うん…。」
撫子は声をにごらせて答えた。撫子の気持ちをどうにかさせたかったが…。その気持ちわかるよって言ったって、逆にイヤになるだけだ。こんな気持ちは他に思わせたくないという気持ちもあるはずだ。どっちにしても辛いことだ。
「よしよし…。」
俺は撫でることと抱きしめることしか出来なかった。いや、それが一番良い判断なのかもしれない。
ガラッ!
「撫子っ!」
突然ドアが思い切り開けられた。そこにはさっきトークショーで喋っていたヴィクトリアがいた。
「……撫子。」
ヴィクトリアは俺が撫子を抱きしめているのをみてすこし穏やかな顔になった。何か安心したかのような…。そんな顔だった。
「…ヴィクトリア…。」
撫子が立ち上がり、ヴィクトリアを見た。
「大丈夫ダヨ。撫子ハ、優しいモノ。私ガこうやッテ、ニコニコしてられるのノモ、撫子ノ、おかげダヨ。」
ヴィクトリアの声はやさしかった。誰よりも優しかった。そして…一番撫子のことを理解していた。俺よりも…。
「キミハ?」
ヴィクトリアが俺のことを見て言った。
「白羽根、拓斗です。」
「シラバネ、ね。」
そういってヴィクトリアはこっちに近づいてきた。
「撫子のこと、守ってくださいネ。私の大先輩ですかラ。」
そういってヴィクトリアは撫子に近づいて抱きしめた。
「先輩……先輩なラ、乗り越えられマス。」
撫子の目が少し輝きを取り戻した。そしてヴィクトリアと同じような、優しい目に変わった。二人は姉妹のようにも思えた。




