第七話 第十八部 付き合っていることが、ばれたかもしれない。
「ここなら大丈夫だろ。」
そういって俺たちは一つの控え室に移動した。そして撫子を近くのソファーに座らせた。
「ひぐっ…えぐっ…。」
「何があったんだ…。落ち着いてから話してくれ…。」
俺は撫子の顔をじっと見ながら聞いた。撫子は顔をうつむいたまま、耳をふさいでいた。これじゃあ俺の言っている言葉が聞こえない。
「ねえ白羽根くん。」
後ろから目黒が声をかけてきた。俺は振り向くことができなかった。
「私にはわかるよ。撫子に対するアンチ人が撫子に攻め立てたと思う。」
「じゃあそいつらを捕まえて…。」
「そんなことしても無駄…。」
なんだよ、無駄って。目黒は大きなため息をつきながら椅子に座った。
「白羽根くん、あの場所で無光闇無ではなく、撫子と呼んだでしょ…。」
「!!」
俺はハッと気づいた。周りは撫子のことを良く知っている人たちばかりだ。もちろん撫子という名前は誰もがしらない。いくらあの囲んでいた人を捕まえたとしても、周りの見ていた人が言いふらすに違いない。そして…。
「白羽根くんが彼氏だということも、おそらく世界中に広められると思う…。いままで以上にあたりが強くなるし、白羽根くんにも同じような非難やアンチが付きまとってくるかもしれない。」
「それでも俺はっ!」
「守れるの?」
目黒の言葉に喉がつまった。何もいえない。俺は怖かった。そしてこれからのことも考えるとさらに怖くなった。
「ひぐっ…。」
撫子は泣いたままだ。俺は撫子を守ると約束した。でも後先を考えてなかったといえば悪いが…。まさかこんなことになるなんて考えも付かなかった。俺が甘かった。それに撫子と付き合う前の3月、撫子は展覧会を開いている。そこでは俺はいなかった。その間に付き合ったということがばれる。アンチはこの付き合いの短さを使って叩いてくる…。
「……。」
俺は何も言わずに撫子をもう一度見た。泣いている。固い卵の中に閉じこもっているようだ。俺は触れたいが、見えない壁のようなものに邪魔されている気がした。
「ごめ…ひぐっ…。」
撫子があやまる。なんであやまるんだよ。撫子は何も悪くないだろ。あの人たちが悪いって言いたいけど口からでない…。だけど俺は無意識に手だけが動いていた。そして撫子の頭にポンッと手をのせることができた。
「よし……よし…。」
「拓…斗…。」
俺は撫子の頭をなでた。泣き止むまでずっと撫でた…。




