第七話 第六部 迫り来る、入場者嵐の音。
ただ今の時刻は9時55分、後五分でコミケ開始だ。一体どれだけの人がやってくるのだろうか。すごく楽しみだ。
「さて、そろそろだね。」
撫子がゆっくりと席に座る。会場の売る側の人たちも座っていく。カチカチと時計の音が鳴り響く。そして…。
「ただ今から、コミケを開始いたします。」
パチパチパチパチ
会場がざわつき、歓声が沸き起こる。いよいよ始まったのか、コミケが。
しばらくの静寂の後、何かが迫ってくる音が聞こえてきた。
ドドドドドドドド
これって…何か走っているかのような音だろうか。馬がたくさん走っているかのように地面が揺れ動く。そして…。
ドドドドド
「うわっ!?」
ものすごい人数が会場内にダッシュで入ってきた。そしてそれぞれの目的のところに向かっていく。俺たちのところにはかなりの人数がよってきた。
「走らないでください! 走らないでください!!!」
係員の声も全く気にせずに走り続ける。そして一番最初の客が近づいてきた。
「新刊一冊ずつください!」
「はい。全部で3000円になります。佐藤さん、お金を頼むね。」
「は、はい!」
俺は急いでお金を受け取る準備をした。お金は丁度だった。撫子は新刊をまとめて渡した。
「頑張ってくださいね!」
「ありがとうございます。」
商品を受け取った最初の客はお礼を言って隣のサークルに移動して次の購入を始めていた。そして次の客がこちらにも来た。
「新刊を一つずつお願いします。お、今日はいつもの売り子じゃないね。」
「はい。従兄弟の佐藤さんですよ。」
い、従兄弟!? でもここではそのような設定にしておかないとまずいか。俺は会釈をした。
「どうも、従兄弟の佐藤です。」
「そしたら無光闇無ちゃんは佐藤って苗字なの?」
俺にお金を渡しながら撫子と会話している。
「いえ、ネットの名前なので。」
「なんとっ! デュフッ! ありがとう!」
そして二人目の客が去っていった。次はやややせ気味でメガネをかけた客が来た。
「新刊二冊ずつ。」
「すみません。一人一冊なんです。」
「んだよそれぇー! じゃあ一冊で。」
な、なんて態度の悪い人なんだ。そういう人もいるってことなのだろうか。俺はバッとだされたお金を受け取った。礼儀を知って欲しいものだ。




