第七話 第三部 見渡す限り、人ばかり。
「ついたー! 戦場!」
戦場なのか。撫子と目黒が手を大きく横に広げてワタワタしていた。そして俺は周りを見渡した。人、人、人! 信じられない数だ。コミケってやっぱりすごいイベントだなと身にしみて感じた。
「俺たちもアレに並ぶのか?」
「そんなわけないでしょ。」
撫子がフフッと鼻で笑いながら人だかりとは別の道を使って会場に移動していた。他にも周りを見渡してみるとキャリーケースを転がしている人もいる。何なんだあれは。
「なあ撫子、あのキャリーケース持っている人って何なんだ?」
「あれはコスプレする人があの中に衣装や道具をいれているのよ。」
撫子の言葉に横で目黒がうんうんとうなずく。
「今が旬のアニメやゲームなどのコスプレや王道から外れたマイナーなコスプレ。面白いコスプレもあったり、昔ものすごく人気になったコスプレもされているのよ。」
目黒が詳しく説明を始める。コミケって即売会みたいなものかと思っていたがそれだけではなかったようだ。俺はふと思いついて撫子に声をかけてみた。
「なあ、撫子ってコスプレしないの?」
すると撫子は急に顔を赤くしてプンプンし始めた。
「するわけないじゃない! あんな恥ずかしい格好できないわよ!」
ここまで恥ずかしがる撫子も久々に見た。そんなに恥ずかしいことなのだろうか。そんなことは無い気がするが。
「私もちょっと苦手かな。」
目黒も苦笑いで頬をかきながら言う。
「コスプレってかなり人の注目を集めるじゃん。撫子みたいな有名な絵師がコスプレしてたら余計に目立つでしょ? 恥ずかしがりやの撫子ができると思う?」
確かに無理だ。でも俺は見てみたい。
「なら個人的に見せてもらおう。」
「ばーか!」
そういって撫子はスタスタと歩いていった。あ、置いてかないでくれ。置いてかれたらもうここから帰れなさそうだから。たのむ。




