opening deep green
むかし、むかし。
ではなくて、とある世界のとある現代。
少年と少女の、長くて短い旅の話。
すべての始まりは、森の奥。
木々生い茂る深緑に映える、美しい純白から。
『実りの国 トヨウケ』
とても深い、眠りです。
自分でそういう風に分かるのが不思議ですが、本当に深いのです。
起きなければならない、動かねばならないのに。
体は意思を受け付けずにただ、とうとうと眠り続ける。
アズ兄さん、どうすれば良いのでしょうか。
このままでは私は、この美しい緑の中で朽ちてしまう。
やらなければならないことを残し、悔やみながら悔やみながら死してしまう。
誰かが私を起こしてくだされば・・・。
「おぉ、トヨウケは綺麗だって分かってたけどさ。
森に入るともっと綺麗だな。
ランハさんっ、ここに生ってる実、食っていんだよな?」
幾度と無く願い続ければ、願いが叶うこともあるのかもしれません。
間違いなく声が聞こえたのです。
若い男の人の声です。
けれど、この森の奥まで来るかしら。
いいえ、願えばきっと叶うのです。
私はとにかく願うのです。
「ユキぃ、勝手にさっさと行くなって言われたでしょ。
リクに怒られるのは私なんですから、気遣ってくださいな。」
もしかしたら、見つけてくれるかもしれません。
でも、コレが協会の人間だった場合はオワリです。
ずっと昔に封じられてしまってからというもの、私は空の色さえうかがえない。
この場所が美しい緑で覆われていることしか分からない。
男の人と女の人。
見つけてもらえる確率が増えたのです。
眠ったままで、喜びを噛み締めました。
「はぁい、ごめんごめん。
だって俺トヨウケ来るの初めてなんだもん。
食いモン超うっまいしさぁ、景色も綺麗だしさぁ。
なぁ、兄ちゃんに言わねぇ?もうここに住もうってさー!」
「駄目よ、リク絶対怖いし、やるのならユキひとりで提案してね。
それに私たちは協会の仕事があるでしょ?
ここに来たのは食料の調達ってリクが言ってたわ。」
・・・協会?
何だかその響きに悪寒がします。
まさか私の希望のうちの、オワリにつながる方なのでは?
一生眠るのはいや。
でも『協会』に拘束されて終える一生も・・・。
さて、如何なものでしょうか。
そんな私の不安をよそに、
どんどんと足音は近づいてきます。
「仕事かぁ・・・めんどいなぁ。・・・・・・ぁんだ、あれ?」
駆け足になってる・・・。
やっぱり、協会ってのは『協会』のことだったんだ!
私に気付いて、ぶち壊しに来たんだっ!!
「ランハさん、来て来て!女の子だぜ?」
「待ってよユキ、そんな走らなくたって・・・。」
遅れてもうひとつの足音。
どうやらここで終わりか・・・。
今頃、データファイルにある『私』と見比べてるのかな・・・。
あぁ、もう覚悟ができてしまいました。
私はこれから、一生を失うのです。




