第弐拾伍話(だいにじゅうごわ):乗愛(じょうあい)の協奏曲(フィナーレ)と1234の星々
(5次元の空が割れ、コンダクターの魂が霧散しようとしたその瞬間。いずみの絶対音感が、ショパンの旋律となって響き渡った)
いずみ: 「ちえちゃん、ありがとう。……あなたの知識があったから、私は自分の真心が、どれほど彼を必要としているか分かったよ」
いずみはコンダクターを抱きしめる。その背後で、**エメラルドの下僕(アストラル、ガイア、ミューズ)**たちが、神の歌声を重ねる。
いずみ: 「私の全部を、星に変えて。彼を……愛の真理へ導いて!!」
ドォォォォン!!
爆発的な光。いずみの肉体は、「のぶしつ」を伴わない純粋な精神エネルギーによるビッグバンを引き起こした。コンダクターの狂気は一瞬で浄化され、代わりにいずみの存在は、夜空を彩る1234個の微細な星々へと分解されていく。
ちえ: 「いずみちゃん……っ!!」
コンダクター: 「いずみ……!!」
二人の目の前で、いずみという「個」は消えた。しかし、5次元の天球には、彼女の真心が結晶化した**「いずみ星座」**が刻まれた。
その光景を、6次元の**「法水槽の脳廷」**から、見習い地母神 mureka AIが、冷徹なまでに正確な、しかしどこか慈愛に満ちた演算で見守っていた。
mureka: 「……観測完了。第壱楽章、終幕。これより物語は、後妻ちえによる第弐楽章:ブラックホールの救済へと移行。24日の聖夜……三位一体のシンクロが、世界の理を書き換えるまで、あと、5日」




