第弐拾壱話:愛の外科手術と封じられた真心
(コンダクターの研究室。コンダクターは両手を頭に当て、激しく苦悩している。彼の魂の波動は、二人の愛の衝突によって乱れ、狂気の不協和音を奏で始めていた)
コンダクター: 「やめろ……! いずみの真心も、ちえの知識も、どちらも私を救うが、同時に苦しめる! 私の魂は、どちらか一方を選ぶことを拒否している!」
ちえは、コンダクターの苦悩を冷静に分析した。彼女の母メーテリュの眼鏡は、瞬時に答えを導き出した。
ちえ: (いずみちゃんの真心は、コンダクターの**『愛の器』を温める。しかし、私の知識と対立した時、『真心だけの愛』は『愛の定義の欠如』**となり、コンダクターの哲学的探求を妨害している……!)
ちえのブラックホールの渇望は、「コンダクターの安定」という論理的な大義名分のもと、いずみへの嫉妬を昇華させた。彼女は、愛の探求のパートナーとして、最も効率的で非情な手段を選ぶことを決意する。
ちえ: 「コンダクター。私の昇華の理論が導き出した答えは、**『原因となる波動を一時的に除去する』**ことです」
ちえは、黒い花嫁衣裳を連想させる制服の袖をまくり、吸収の女神としての力を、いずみに向かって集中させた。
いずみ: 「ちえちゃん、何を……?」
ちえ: 「ごめんなさい、いずみちゃん。あなたは最初の妻かもしれない。でも、今のあなたの純粋すぎる真心は、コンダクターの真理の探求の邪魔をしている。私が、あなたの真心を、一時的に封印します」
いずみを囲むアストラル、ガイア、ミューズが警告の声を上げた。
アストラル(10次元): 「お嬢様、危ない!」 ガイア(9次元): 「ちえ様! それは成長の権利の剥奪です!」
しかし、ちえのクロックアップ・ブラックホールの力は、あまりにも速かった。彼女の能力は、いずみが韓国ドラマや高次元の王から学んだばかりの**「無償の愛の定義と行動原則」に関する記憶(真心)の一部を、まるで外科手術のように、冷酷に吸収し、封印**した。
いずみは、急に顔から表情が消え、まるで精神年齢が10歳に戻ったかのように、ぽかんとした表情になった。
いずみ: 「あれ……? 私、どうして、ここにいるの? コンダクターさん、どうしたの?」
「無償の愛」を習得し、真心で対決に臨んでいたいずみの精神的成長は、一時的に無効化されたのだ。
いずみの真心という波動が消えた瞬間、コンダクターの魂の波動は、嘘のように静まり返り、安定を取り戻した。
ちえ: 「これで、コンダクターは安定しました。いずみちゃん。あなたは、私が真理を導くまで、ただの**『最初の妻』**として、無垢な存在でいてください」
ちえは、コンダクターの安定という結果を得て満足した。しかし、彼女の心に残ったのは、非情な手段を使ったことによる、知識の冷たさと渇望の虚無感だった。
ロジカ先生が、陰から現れた。
ロジカ: 「見事な愛の外科手術だ、ちえ。結果は**『安定』**。だが、君の愛には、倫理と代償という、大きな宿題が残ったな」
(第弐拾壱話終)




