第拾肆話:無償の愛の教科書と妖精たちの囁き
(学園都市のちえと二人で暮らす部屋。いずみは小型の多次元テレビの前に座り込んでいる)
ちえは、コンダクターのそばを離れず、母メーテリュの眼鏡をかけ、必死に愛の理論書を読んでいた。彼女のブラックホールは、いくら知識を吸収しても満たされず、いずみへの嫉妬と渇望が混ざり合った不協和音を心の中で奏でていた。
ちえ: 「なぜだ。いずみちゃんの真心は、どこから来る? 私の知識では、無償の愛は理論的に自己破滅的な概念としてしか成立しないのに!」
その頃、いずみは、ちえの知識の探求ではなく、**「愛」**そのものを学ぶために、3次元の文化に触れていた。彼女の選んだ教科書は、たまたま放送されていた韓国ドラマだった。
いずみ: 「『アクシデントカップル』……。ドンベクさんは、本当に素直に愛を捧げている。私と違って、愛されたいなんて思ってない……」
いずみは、自身が人間年齢に換算すると10歳のまま18歳になったことによる、愛への無知と不器用さを痛感していた。
その時、いずみの周りに、光と風と共に三つの姿が現れた。
アストラル(10次元): 「お嬢様、愛の勉強、ご苦労様です。そのドラマの**『真心』の光は、10次元にまで届きますよ」 ガイア(9次元): 「いずみ様! 愛は、頭で覚えるものじゃありません。私たちと一緒に、体で感じて成長しましょう!」 ミューズ(8次元): 「そのドラマの情熱、最高! 愛を表現する音色**を、私と一緒に探しましょうよ!」
**エメラルド様の下僕たち(アストラル、ガイア、ミューズ)**が、愉快なナレーション役として、いずみの愛の学習をサポートするために、6次元から5次元に合流したのだ。
いずみ: 「わあ、あなたがたはロジカ先生が言っていた**『愛の師』**ですね! よろしくお願いします!」
いずみは、ちえの冷たい視線を背中に感じながらも、韓国ドラマと3人の妖精と共に、「無償の愛」を習得する旅を始めた。彼女の愛の成長こそが、後に乗愛を完成させ、ちえのブラックホールの渇望を癒す唯一の光となることを、この時の彼女はまだ知らない。
(第拾肆話終)




