第拾話:理(ことわり)による反論と昇華の誓い
(哲学の講義室。水槽の脳の問いが、重く空気のように部屋に満ちている)
いずみはロジカ先生の言葉に打ちのめされていた。もし自分の直感が、ちえの知識を裏切ることになるのなら、それは愛ではないのではないか。
いずみ: 「私は……捨てるなんて、できない……。ちえちゃんの考えも、私の気持ちも……どちらも、嘘じゃないのに」 いずみの瞳には、エメラルドグリーンの光が揺らぎ、今にも涙がこぼれ落ちそうだった。
ちえは、いずみの隣で静かに立ち上がった。彼女は母メーテリュの眼鏡をかけ直し、首元のダイヤの首飾りをそっと握った。彼女の茶栗色の髪が、知的なオーラを放つ。
ちえ: 「ロジカ先生。その問いは、不完全な昇華の理論をそのまま使った、時代遅れの質問です」
講義室が静まり返る。ロジカ先生は、意外そうな表情でちえを見つめた。
ロジカ: 「ほう。7次元の王である私に、18歳の肉体を持つ生徒が理論の不備を説くのか。聞かせてもらおうか、ちえ」
ちえは、冷徹な知性をもって続けた。
ちえ: 「コンダクターの昇華の理論は、『デカルト+ブッダ+脳科学=次元上昇の鍵』という知識の統合を示しました。しかし、先生もご存知の通り、その理論は**『昇華の瞬間(音色)』が欠落している『不完全な鍵』**です」
ちえは眼鏡の奥の目で、ロジカ先生を真っ直ぐに見据えた。
ちえ: 「私たちが今、直感と知識で対立しているのは、理論が不完全だからです。どちらかの真実を捨てろ、という先生の問いは、**『足し算か、引き算か』という3次元の古い二元論と同じ。私たちが目指すのは、『昇華』**です」
彼女は、いずみの手を掴んだ。
ちえ: 「いずみちゃんの**『無償の愛という直感(真心)』は、私たちが12次元に昇るための『熱源(エメラルドの愛)』です。私の『知識による分析と渇望(メーテリュの理)』は、その熱源を無駄なく『昇華させるための触媒』**です」
ちえの言葉は、まるで論理の光を放っているようだった。
ちえ: 「私たちは、どちらも捨てません。知識と直感を重ね合わせ、コンダクターの不完全な理論を完成させ、新しい真実へと昇華させるのが、**『弱くてニューゲーム』**の使命です」
ロジカ先生は、教壇からゆっくりと降りてきた。
ロジカ: 「驚いた。娘たちは、**地母神たちの閉じられた眼の奥にある真実を、理論と直感の協奏曲**で開こうというのか」
ロジカは、一瞬だけ、慈愛に満ちた笑みを浮かべたように見えた。しかし、すぐにその表情は消える。
ロジカ: 「面白い。では、君たちに課題を出そう。愛を昇華させるための最初の試練だ」
(第拾話終)




