プロローグ
どうして高橋菜々美は、こんな非道な仕打ちを受けないといけないのか。
菜々美はただ好きな人、佐倉悠真と出会い、ふれあい、愛しあっただけではないか。
いずれ愛する悠真と体をかさねあい、愛の結晶をさずかり、悠真と一緒に幸せな家庭をきずきたいと願っただけではないか。
この17歳の少女のささやか夢は罪なのか。
先輩の黒谷龍児とって、その夢は罪だった。憎むべきものだった。
「高橋菜々美には、おしおきが必要だ」
最愛の人、悠真の未来を人質にとられた菜々美は拒むことを許されず、毎日のように龍児にフェラ行為を強要された。
菜々美はくりかえされるフェラ行為の強要によって、屈辱を強いられ、絶望においこまれ、無力だと思い知らされた。
心と体が解離する。心は麻痺してしまい、なにも感じない。体は龍児の操り人形と化した。龍児の思惑どおりだ。
そして、むかえる10月26日、それは悠真の誕生日。菜々美にとって大事な記念日だ。
その日、午後錬のあと、だれもいない体育倉庫の中で龍児と二人きり。菜々美は表情を失い、龍児に言われるがまま、ロボットのように動いていた。
いよいよ龍児は菜々美にセックスを強いることになる。
「おまえの大事な佐倉の誕生日に、おまえの初めてをもらってやるよ」
龍児は悪魔のような笑みを浮かべた。菜々美の大事な記念日に、菜々美の大事な初体験を奪うのだ。
それは「アニバーサリー反応」として、生涯ずっと菜々美の心を苦しめるだろう。
菜々美は最愛の悠真の誕生日をむかえるたびに、初体験を奪われた屈辱を思い出すのだ。
そのとき菜々美は悠真の誕生日を心から楽しめない。そのせいで悠真も楽しめない。
おまえたちは、たとえ互いに結ばれたとしても、生涯、苦しみ続けるのだ。
「とりま、おまえの最愛の人が、おまえの処女喪失の真実を知った時、どんな顔をするか、今から楽しみじゃないか」
龍児の邪悪な手が、菜々美の体にのびていく。




