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不倫盟約  作者: 鍵香美氏
第2章 拘束編
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第9話 地獄の面会

   ◇1ヶ月半◇

 俺が警察署に連行されてから1ヶ月半が経過した。

 前回の土田の面会以来、海城組の奴らだとか、濱嶋団の奴らが度々面会に来たが、軽くあしらっておいた。

 俺の裁判まで後13日と迫っている訳だし、そろそろ土田の証拠が集まっていて欲しいところだ。

 そんな事を考えていると、今ではお馴染みになった警官の


『面会だ』


という声が聞こえてきた。

 俺は慣れた口調で警官に会釈し、面会室へ向かった。  

 扉を開けるとそこには、俺をハメた張本人で、怜奈を殺した犯人でもある"来田正成"の姿があった。

 俺は来田の顔を見た瞬間苛立ちが限界に達し、勢いよく怒鳴りつけた。


「今更どうして面会に来た。俺の人生壊して楽しいか!何を考えて生きてるんだよお前は!」


 それを聞いた来田は笑いながら話した


「君は"因果応報"という言葉を知っているかね?」


 コイツ何言ってやがる。

 怜奈を殺しておいて。

 そう思っていると、来田は深刻そうに驚くべき事を口にした。


「怜奈くんはね、不倫していたんだよ、僕と」


 …は?何言ってるんだ?怜奈が不倫?

 俺が追い詰められた気分になっていると、来田はさらに追い打ちをかけるように言葉を放った。


「あれは2年前くらいのことかな。怜奈くんが道端で倒れるように泣いていた姿を僕は見つけたんだ。どうやら彼女は君との接し方に相当悩んでいたらしいんだ」


 怜奈が道端で?何でそんな事を。


「君たち、不妊に悩まされていただろ。でも君たちは、"運が悪いだけ"と問題を先延ばしにしていた。だがある日、怜奈くんはその原因を知りたいと思い、産婦人科まで行って調べたらしいんだ」


 そんなに思い詰めていたのか。

 もう少し早く気づいてあげるべきだった。

 そうすれば俺も一緒に検査できたのに。


「だがそこで出た診断は、怜奈くんには"全く問題がない"ということだった」


「え?」


 俺は思わず素っ頓狂な声を出してしまった。だってそれはつまり…


「そう、不妊の原因は君"牧野大樹"にあるってことだよ」









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